【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第145号
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○今月の「テーマ展示とアプリでStudy!」【蔵本分館】

今回のテーマ展示は,1月7日(土)に開催されました「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」との連動企画で「EBM」をテーマにお届けします。

監修はワークショップの講師としてお招きしました,倉敷中央病院 救命救急センター長の福岡敏雄先生にお願いしております。


「EBM」は,「Evidence Based Medicine」の略で,日本語では「根拠に基づく医療」と訳されることが多いようです。

この「EBM」という言葉が初めて論文上に登場するのは1991年のことですが,その概念は私達が考えるよりもずっと古いもので,哲学的起源は19世紀のパリにまで遡ることができると言われています。

また「EBM」の学問的基盤である「臨床疫学」は1960年代にすでに,データの定量解析,適切な臨床判断につなげることを目的とした点など,現代の「EBM」に通じる考え方を持った研究分野として確立されていました。

1970年代にそれらの概念を整理し,普及に努めてきたのがカナダMcMaster大学(当時)のSackett博士らのグループです。

1997年に『Evidence-based medicine : How to Practice & Teach EBM』(David L.Sackett[ほか]著)が出版され,「EBM」という言葉は世界中で用いられるようになりました。


「EBM」が,これほど急速な広がりを見せた背景には,統計解析手法の進歩により,根拠となる臨床研究のデザインや方法論,妥当性・信頼性を判断するための基準が整備されてきたこと,情報処理技術の向上やインターネット環境の充実に伴い,膨大な文献の中から質の高い臨床研究の結果を効率よく入手できるようになったことなどが挙げられます。

一方で,あまりに速い拡散には弊害もあり,「EBM」にはその主意が正しく理解されにくかったという側面もあります。


EBMに限らず何かを実践するためにはまず,その本質を知ることが大切です。

今回の展示では初心者向けの気軽に読める本,さらに掘り下げたい方にはより詳しい解説書,上記で紹介したSackett先生の著書などを取りそろえ展示しています。


「EBM」って難しそう,とか,実際どういうものなのか,まだうまくイメージできないという方も,この機にまず「EBM」に親しむところから始めてみませんか。

第53回テーマ展示「EBM」を,どうぞご活用ください。


今回もiPadでは,テーマにちなんだアプリをご紹介しています。

「Mindsガイドラインセンター」…公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する医療情報サービス「Minds」が評価・選定した診療ガイドラインの情報を閲覧できるアプリテーマ展示コーナーのiPadでお試しいただけますので,気軽に触ってみてくださいね。


ブログ「徳島大学附属図書館蔵本分館日誌」では,アプリの詳しい使い方をご紹介しています。こちらもご覧ください。

「アプリでStudy!(「Mindsガイドラインセンター」)」


なお,徳島大学附属図書館Webページでは,今まで行ってきた展示とアプリを紹介しています。

http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/siryou/theme/ から見ることができますので,ぜひチェックしてみてください!


展示の様子はこちら

展示の様子