【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第100号
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【本館】ラーニング・コモンズから広がる学修支援の輪

徳島大学附属図書館本館では、2012年11月のFD・SDセミナー(すだち95号)以後、ラーニング・コモンズを利用した学修支援体制が目に見えて発展してきています。

具体的には、12月から、全学共通教育センター古屋准教授による「学修相談室」の試行、1月、学生団体繋ぎcreateとの協働イベント「スタディレスキューWeeeeek」(すだち97号)の開催、3月、ビブリオバトル企画・運営団体「阿波ビブリオバトルサポーター」の結成。同時進行で、新入生対象の大学入門講座における「文章力向上のための第一歩」読書レポートの企画が進んでいました。

そして新年度の4月、読書レポート(建設工学科以外の工学部、歯学部、医学部栄養学科の新入生対象)の開始、繋ぎceateとの協働イベント「履修相談会in 図書館」の開催、同じく繋ぎcreateとの協働によるStudy Support Space(SSS)の開室と、毎月のように動きがあります。


4月以降に開始した学修支援について、少し内容を紹介しましょう。

読書レポートは、「図書館を利用する習慣をつけること」「常に課題が与えられてきた高校までの学びから脱却すること」「正解が一つであった高校までの学びと大学の学びは違うことを新入生に理解させること」を目的として企画されたものです。レポートの提出は連休明けで、その成果物はまだ上がっておりませんが、図書館を使っているかどうかについては、統計でみることができます。その結果、4月当初から18日までの学生の貸出冊数の半数を1年生が占めること、また、ここ3年間の同時期の1年生の貸出冊数と比較するとほぼ倍になっていることがわかりました。大学のスタート時点から図書館を利用することを習慣づける、という目的はほぼ達成されていると言えます。


統計結果はこちら

1年生 読書量変化(平成23~25年度)

1年生の貸出冊数は顕著に増加。(集計期間4/1-4/18)

平成23年度 218冊

平成24年度 311冊

平成25年度 536冊

H25 学年別読書傾向

また、学年別貸出冊数でも,1年生の貸出冊数が一番多い。

1年生 536冊

2年生 190冊

3年生 190冊

4年生 308冊

その他   6冊


また、新入生を主な対象とした「履修相談会」では、1年生の約1割にあたる96名が履修相談会を利用しました。

このように、ニーズにあった支援を行うことで多くの学生に図書館を利用してもらうことができ、図書館とは学修支援が受けられる場所なのだ、という理解が広がっていくと思われます。

なお、この企画では、多くの新入生が不安を解消すると同時に、開催側の学生にとっても、新入生との交流を楽しみ、さらに大学での学びを改めて考えてみる機会になったようです。


Study Support Space(以下 SSS)は、履修相談会終了後の4月12日に開室しました。多くの先生と院生が、学生の学修を常設でサポートする場をつくることを目的に企画したものです。SSS開室により、12月から行っていた「学修相談室」は発展的に解消しました。

SSSの特徴は、学生が運営に携わっていることです。相談記録の集計、シフトの編成など事務的な仕事を学生が行っており、学生目線によるサービスの展開が期待されます。新年度がはじまったばかりで、まだ利用は少ないですが今後授業が進むにつれて、利用は増えるものと考えています。


特筆すべきは、これらの支援がそれぞれ独立しているのではなく、相互に関連していることです。

つまり、履修相談会では、SSSの利用を促し、読書レポートの質問はSSSで受付け、読書レポートの成果としてビブリオバトルの開催が検討されています。さらには、これらに関わっていく中で多くの先生との交流が生まれ、先生方にも、図書館を有効につかっていこうという意識が醸成されるきっかけともなっています。


こと、ラーニング・コモンズで大切なのは、学内の他部署との連携だと言われています。図書館が一人、ラーニング・コモンズをよいものにしようとしても、結局は大学内の教育方針や学修支援の方向にのらなければ、有効に機能させるのは難しいでしょう。

2013年から始まったいくつかの学修支援が、多くの学生にとって実り多いものとなるよう、展開させていきたいと考えています。


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