【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第170号
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○附属図書館長退任に際して

附属図書館長 吉本 勝彦

平成27年4月1日付けで附属図書館長に就任後、在任4年となり、この3月末で任期満了となります。図書館職員の皆様、南川および鶴尾分館長、依岡、鶴尾および武藤副館長のご協力ありがとうございました。

徳島大学附属図書館におけるこの数年の大きな動きとして、平成26年度(福井 義浩前館長)から学修支援に重点を置くことを目標としたこと、さらに研究支援の一つとして平成28年に「徳島大学におけるオープンアクセスに関する方針」を学長裁定したこと(国立大学では3番目)が挙げられます。退任を機に、副館長時の1年間を含めた5年間の図書館の活動を振り返ってみます。


1. 学修支援

授業に必要な図書等をカリキュラムに即して配置し、担当教員が図書のコメントを加えた 「授業サポートナビ」の構築、教員の監修によるテーマ展示(図書とiPadによるアプリの展示)、My Recommendations(教員などによるお勧め本)・「これ読んでみんで」(学生によるお勧め本)による読書推進、My Thesis(教員の学位論文紹介)、英語の多読ラリーなどを実施しました。学生サークルとともに、教員や学習支援アドバイザーによる学習相談の場である「Study Support Space」の運営および教員による「レポートの書き方講座」など学生の主体的な学習を促進する活動を行いました。また「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」、「診療ガイドライン利用者のためのGRADEワークショップ」、「Evidence Based Medicine のための『原著論文の批判的吟味』ワークショップ」などの専門人育成のための取り組みを実施しました。

さらに図書館職員が文献検索講習・データベース講習を含めた情報探索能力を向上させる授業支援を実施しています。


2. 研究支援

電子ジャーナルおよびデータベースの恒常的な値上げの継続、円相場の変動(平成23年の1ドル = 75円台から平成27年の1ドル = 124円台)、海外サーバから提供される製品への消費税課税の導入(平成27年10月から)などにより、その財源確保は非常に厳しい状況となり、平成29年度からWeb of Scienceを中止しました。そこで平成29年度から,附属図書館運営委員会の下に「電子ジャーナル検討のためのワーキング」を設置し,他大学のパッケージ契約状況調査や学内意向調査の結果をもとに,平成33年度までの整備方針を決定しました。その結果、平成31年1月からWiley社のパッケージ契約を中止しています。

公的な研究資金(税金)による研究成果は、無料で見られるようにすべきという観点から、徳島大学では研究成果について機関リポジトリで公開するとの方針を定めています。公開のメリットとしては、論文の被引用が高まることが明らかにされています。オープンアクセスを促進するために、教員・URAとの意見交換会、URAニュースでの情報発信や研究倫理セミナーでの広報を行いました。また、機関リポジトリのサイトリニューアルを行い、教員別の研究成果一覧や教育研究者総覧との相互リンクなどの機能を追加するとともに、研究者への論文アクセス数等のメール通知サービスを開始しました。


3. 地域社会および学外機関との連携

年1回の学術講演会を実施するとともに、徳島市立図書館との連携事業(平成25年3月から)において、平成28年度から新たに定例会・企画会議を設け、健康いきいき講座の共催、合同職員研修などを進めました。平成29年3月には鳴門教育大学附属図書館・徳島県立図書館との連携事業を開始し、徳島県立図書館100周年の写真パネルの巡回展示やベストセラー100年展、職員相互訪問研修などを行いました。


4. 広報、自己収入増、環境整備

広報強化のため、附属図書館長と理事、部局長の対談のメールマガジンへの掲載や徳島大学附属図書館公式SNS (Twitter, Facebook, Instagram)の開設を行いました。さらに月刊「企業と大学」(徳島大学出版部)に、毎号「読みたい!この1冊」の書評を担当しています。

また自己収入増加を目的として古本募金を開始し、学生用図書の充実にあてるとともに、クラウドファンディングにも挑戦しています。

学生後援会の支援を受けて、蔵本分館南側の緑化整備を行いました。切り株の残る空き地を整備して蜂須賀桜、しだれ桜、ソメイヨシノ、ハナミズキ、ヤマボウシ、イロハモミジを植樹し、併せて青石のテーブルも設置しました。


上記のような活動を通して、図書館利用がワクワクするような「クール・ライブラリー(すてきな図書館)」をめざしてきましたが、未だ道半ばで任期満了となりました。依岡新館長のもとでのクール・ライブラリーの充実・発展を期待しています。このためにも、今後とも附属図書館の運営への御協力よろしくお願い申し上げます。


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