【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第134号
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○伊能図講演会を開催しました

3月5日(土)に常三島けやきホールにおいて徳島大学附属図書館主催による伊能図講演会「伊能忠敬と沿海地図・官板実測日本地図-徳島大学附属図書館所蔵伊能図の学術調査報告-」を開催しました。


講演会のポスターはこちら → http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/news/news15/pdf/20160209inou2.pdf


平成26年度から徳大伊能図の学術的意義や文化財的価値を検証するため,学内外の専門家・関係機関等による伊能図検証プロジェクトを立ち上げ2年間に渡り学術調査を実施しました。

今回の講演会は,その調査の報告を兼ねたもので,地元の方にも広く徳大伊能図を知っていただきたいということもあり開催しました。


平井教授の講演では,徳大伊能図の来歴,他機関所蔵伊能図との比較分析により見えてきたこと,伊能図検証プロジェクトの報告会として開催した東京でのシンポジウムの要約についてお話がありました。

この報告により,完成版伊能図である「大日本沿海輿地全図」の作製過程を知るうえで,徳大所蔵伊能図中図(沿海地図及び大日本沿海図縞)が極めて重要な位置づけとなることが明らかになってきました。


続いて塚本准教授の講演では,徳大伊能図の針穴に着目した超高精細画像とGISの連携による分析調査の成果について,ヒストグラム等を使いビジュアルでわかり易く報告されて,当時の描画技術や精度について伺うことができました。


最後は,杉本東京大学史料編纂所教授から,伊能図に比べ価値や評価についてあまり認められてこなかった「官板実測日本地図」についての講演でした。

「官板実測日本地図」は,伊能図を基に政府が史上初めて西洋諸国にむけて公開することを念頭に刊行した日本図で,その特質について,時代背景や政治外交情勢を絡めたお話でした。

(「官板実測日本地図」についても徳島大学附属図書館に初版本が所蔵されています。)


なお,当日の参加者は関係者を含めて約60名でした。参加された皆さまには非常に関心を持っていただき,質疑応答では多くの質問があり講演会は盛況のうちに終了しました。


伊能図講演会を開催しました