【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第130号
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○学長裁量経費事業「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」を開催しました


蔵本分館では,10月25日(日)に倉敷中央病院救命救急センター長の福岡敏雄先生を講師としてお迎えし,「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」を開催しました。

このワークショップは,学長裁量経費(平成27年度パイロット事業支援プログラム・教育改革支援事業)によるもので,エビデンスに基づいた医療を実践することの重要性を学び,より質の高い医療情報を取り扱える人材の育成を支援するため,附属図書館が企画・主催し,医歯薬学研究部医療教育開発センター,医学部・歯学部・薬学部の各教務委員会,医科学・栄養生命科学・保健科学教育部の各教育・研究委員会,口腔科学教育部教務委員会,薬科学教育部学務委員会,病院キャリア形成支援センター等関係部局の協力により行われました。


参加者は計25名で,内訳は以下のとおり幅広い分野からの参加がありました。

● 学部学生6名(医学部医学科3名、薬学部薬学科3名)

● 大学院生12名(医科学教育部2名、口腔科学教育部8名、保健科学教育部1名、薬科学教育部1名)

● 教職員5名(医歯薬学研究部3名、病院2名)

● 学外2名(医師2名)


参加者アンケートでは,「今までポイントをしぼらず論文を読んでいたが,読むべき項目やキーワードなどを知ることができた」などの高い評価を受けましたが,「他学部の学生や教員と話すことができ視野が広がった」などの,所属の枠を越えて学ぶことの意義についての感想が多く寄せられ,蔵本キャンパス全体をサービス対象としている附属図書館の利点を活かしたワークショップとなりました。

参加した学生さんから感想文をいただきましたので,ご紹介いたします。


<薬学部薬学科5年 御牧 夕紀子さん>

今回、EBMワークショップに参加したのは「臨床論文が読めるようになりたい!」といった高尚な目的ではなく、単に知り合いの教職員から誘われたことがきっかけでした。誘ってくれるならと、軽い気持ちで参加を申し込み、あらかじめ配布されていた資料はろくに予習もせず当日参加するに至りました。

恥ずかしながら、私は薬学部に5年間も在籍して臨床論文ときちんと向き合ったのはこれが初めての機会でした。英単語も分からなければ、表の見方も分からず、過去に勉強した古い記憶を呼び起こすことすら出来ませんでした。しかしながら、各グループに1人ずつサポート役の方がいてくれたため気軽に質問することができ、懇切丁寧に教えて頂けたため最後には論文の内容をきちんと理解することが出来ました。

また、このEBMワークショップでは意外にも参加者の多くが社会人であり、中には実際に医療現場で働いている方もいらっしゃいました。私のグループにもそれに該当する方がいらっしゃったため、実際に論文の知見を患者に生かすにはどのように考えたらよいかをかなり深く討論することが出来ました。このような機会に巡り合えるとは全く予期していなかったため非常に嬉しかったです。

EBMワークショップでは場面に応じた臨床論文の選び方やその論文の読み取り方だけでなく、実際に現場にいる人の視点、他の学部で学んでいる人の視点、ならびに患者の視点で考察し、論文と患者を結び付けることが出来ました。来年も開催されることを楽しみにしています。


この事業は「学部や既存学問分野の枠を超えた人的ネットワークの形成」「エビデンスに基づいた医療を実践することの重要性を学び、より質の高い医療情報を取り扱える人材を育成する」「IT技術を利用した課題発見・問題解決能力の重要性を認識させ、世界と競うことのできるグローバルな人材養成を支援する」ことを目的としています。今回,関係部局,講師・チューターの先生方のご協力のもと,図書館の利点を活かした有意義な学習・研究支援を行うことができましたことを心より感謝申し上げます。

今後も附属図書館では徳島大学の学生,教職員に相応しい学習・研究支援を行ってまいりますので,ご理解,ご協力いただければ幸いです。


講義の様子

講義の様子

グループワークの様子

グループワークの様子