【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第119号
メールマガジン「すだち」第119号本文へ戻る


☆学長裁量経費事業「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」を開催しました

蔵本分館では、11月15日(土)に倉敷中央病院救命救急センター長の福岡敏雄先生を講師としてお迎えし、「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」を開催しました。

このワークショップは、学長裁量経費(平成26年度パイロット事業支援プログラム・教育改革支援事業)によるもので、エビデンスに基づいた医療を実践することの重要性を学び、より質の高い医療情報を取り扱える人材の育成を支援するため、附属図書館が企画・主催し、HBS医療教育開発センター、医学部・歯学部・薬学部の各教務委員会、病院キャリア形成支援センター等関係部局の協力により行われたものです。


参加者は計33名で、内訳は以下のとおり幅広い分野からの参加がありました。

  • 学部学生15名(医学科10名、歯学科1名、薬学部4名)
  • 大学院生7名(医科学1名、口腔科学5名、保健科学1名)
  • 教職員7名(HBS4名、病院3名)
  • 学外4名(医師2名、教員1名、医学科学生1名)

参加者アンケートでは、「今まで漠然と論文を読んでいたが、具体的なチェックポイントを教わり勉強になった」などの高い評価を受けましたが、「他学部の学生や教員と同じテーブルで話し合うことができ有意義であった」などの、所属の枠を越えて学ぶことの意義についての感想が多く寄せられ、蔵本キャンパス全体をサービス対象としている附属図書館の利点を活かしたワークショップとなりました。

EBMワークショップは全国各地で開催されていますが、大学図書館が企画・主催して行うのはあまり例を見ないのではないでしょうか。今回、関係部局、講師・チューターの先生方のご協力のもと、新しい視点からの有意義な学習・研究支援を行うことができました。心より感謝申し上げます。今後も附属図書館では徳島大学の学生、教職員に相応しい学習・研究支援を行ってまいりますので、ご理解、ご協力いただければ幸いです。


ワークショップの詳しい内容は、図書館ホームページでも紹介しておりますので、ぜひご覧ください。


また、医学部と薬学部、異なる学部の2名の学生さんから感想文をいただきましたので、ご紹介いたします。

「ワークショップではどんなことをするのだろう」「参加して何が分かるのだろう」「医学部生以外にも関係あるのだろうか」など興味や疑問をお持ちの方に読んでいただき、ぜひ次回は参加していただけたらと思います。


<医学部医学科5年 森本佳奈さん>

今回「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」に参加させて頂きました。参加者は学部学生や大学院学生が多かったです。臨床実習や研究室で、EBMとは何なのか?と疑問に思った方が多いのではないかと思いました。

今回は出生前診断に関する論文を通して、EBMに基づいた論文の読み方をグループディスカッションを通して学習しました。本来予習で論文を読んでくるべきだったのですが、私は殆ど手付かずだったので班員の方々にご迷惑をかけたように思います。でも医学部以外の方と、こうした倫理的問題についてディスカッションできたのはとても貴重な機会でした。EBMとは感情抜きにして筋道立てて考えることだと思っていましたが、対象となる患者さんや論文を読む個人によっては随分考え方が変わるものだなと思いました。

一番最後に一人ずつ感想を言い合ったのですが、結局EBMとは何なのか?という答えがますます分らなくなった人が多いように思います。

私の考えなのですが、Narrative Based Medicineという、対話を通して患者さん個人と向き合う医療という考えがあります。今回のEBMの概念はこのNBMを包含しているように思えたので、論理的なEBM、個人的、対人的なNBMと分けた方が理解がしやすいのではないかと思いました。


<薬学部薬学科4年 伊藤智平さん>

EBMとは何か、今回のワークショップには講義では何度も耳にするEBMへの理解を深めたくて参加した。

ざっくりと説明するとEBMとは、臨床の現場で起こっている問題の明確化を行い、その問題に関連する臨床論文を見つけ、その論文を批判的に吟味し、患者の状況などを加味したうえで適応の可否を決定・実施し、最後に一連の作業を振り返り問題点や改善策を整理し、次に生かすという手順になる。

言うは易しであるが、実際に行うとなるとまず何が問題となっているかという所でつまずき、関連論文を探すところで呆然となり、論文を吟味するための英語能力の不足を改めて知ることとなり、検査前オッズや尤度比といった用語をみて、過去にすれ違い今は遥か彼方に行ってしまった知識を嘆くことになる。

しかし、参加してよかった事もふたつある。ひとつは、自分の足りない実力でもなんとか食らいつけそうなEBM実践のコツのようなものを学ぶことができたこと。ふたつ目は他学部の生徒や教員と同じテーブルで話し合うことができたことである。徳島大学は同じ敷地内に医歯薬学部があるのに4年間在学して他学部と交流したのはこれまで1度しかなく良い刺激となった。

このワークショップが開催されたのは今回が初めてとのことであるが、多学部連携の機会として、また来年には知識万全・英語堪能となっているはずの自身のリベンジの場として、来年も開催されることを期待している。


講義の様子 グループワークの様子

メールマガジン「すだち」第119号本文へ戻る