徳島大学附属図書館本館では、2013年4月より、学生が学習相談を受けることができる学修支援企画として「Study Support Space(SSS)」を運営しています。SSSは、ピア・サポート活動を行う学生と図書館職員との協働で企画され、アドバイザーの教員・院生はボランティア、という全国的にも珍しい形で運営しており、これまでにも島根大学で開催された「大学図書館学生協働交流シンポジウム」や広島大学図書館で開催された「フレッシュパーソンセミナー」で報告する機会をいただきました。
今回は「平成25年度全学FD推進プログラム第4回FD・SDセミナー」への登壇で、学内では初めての報告となります。19名の方にご参加いただきました。
(参加者内訳:徳島大学教職員9名、徳島大学附属図書館4名、徳島大学学生2名、鳴門教育大学附属図書館職員3名、松山東雲女子大学・松山東雲短期大学図書館職員1名)
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このセミナーでは、図書館で現在行っている学修支援について知っていただくこと、参加者とともに図書館の学修支援企画を考えることを企図しており、①SSSを中心とした図書館の学修支援についての報告、②グループワーク、の2部構成で実施しました。
まず、報告では、大学図書館における学修支援の必要性の概略を紹介した後、SSSの利用実績、3つのアンケート結果を報告しました。簡単にSSSの現状をまとめると、次のようになります。
- 4月~12月までに314名が利用している
- 理系の基礎科目についての質問が多い
- SSS利用者の満足度は高い
- SSSの認知度は学生の5~6割である
- リピーターが6割である
- 学生は大学での学び方にとまどっているようである
- SSSの施設整備が求められている
そして、これらの報告後、そこから導かれる今後の課題をあげるととともに、SSSに限らない図書館の学修支援の可能性について提案しました。
※報告の詳細は「徳島大学機関リポジトリ」に搭載されています。
この提案をもとに、「図書館で行うとよい学修支援」について考えてもらうグループワークを行いました。手順は次の通りです。
- 参加者は5つのカテゴリー(①学生・教員との連携、②イベント、③資料活用、④授業開発、⑤共同研究)のうち1つを選ぶ。
- 同じカテゴリーに属したメンバーでグループをつくる
- 選んだカテゴリーにあった学修支援企画を提案してもらう。その際、次の点について発表できるように話し合いをすすめる。
- (ア) なぜその企画をやりたいと思うのか
- (イ) どのようにしたら実現できるか
- (ウ) どんな効果がありそうか
グループ分けの結果、①学生・教員との連携、②イベント、④授業開発(2グループ)の4グループに分かれました。
30分程度のグループワークを行ったところ、次のような企画が提案されました。(カッコ内はグループ構成員)
「シラバスとの連携」
「教員と関われる作業・イベント、図書館での活動報告会」
(徳大教員、学生、鳴教図書館職員)※このグループは2案でました
「ミニビブリオバトル」(徳大教員、徳大図書館職員)
「3-4年生用 ゼミ教員とコラボした外国語文献検索」
「1-2年生用 半年間の授業を通して、プロジェクト型(問題解決型)授業」
(徳大教員、松山東雲女子大学図書館職員)※このグループは2案でました
「脱、人まねレポート!」(徳大教員、鳴教図書館職員、徳大図書館職員)
※グループワークの詳細はこちらをご覧ください。
今すぐできそうなもの、できたらいいなあ、と以前から思っていたもの、色んな提案がありましたが、それが、図書館職員だけでなく、教員、学生、他大学の職員とで検討した結果提案された、というところに、今回の成果があると思っています。グループワークでの討論の様子などを見てみると、参加者それぞれの立場からの意見や思いが交換されており、様々な発見があったのではないかと思われます。アンケートの結果もおおむね好評で、「グループワークによって先生方と情報交換ができた」「学生さん、職員さんをコラボして図書館活用について考えられたのが良かった」「色々な機会に、図書館への要望として教員側から出すことをしていこうと思う」などのご意見をいただきました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
今回のセミナーでは、新たな協働が生まれるきっかけになることを期待していましたが、参加者はほぼSSS関係者だったので、つながりを広げることは叶いませんでした。しかし、今後もこのような機会があれば参加し、徳島大学の教育に資する活動を展開できるよう図書館と学生・教員との連携を広げていきたいと思っています。
なお、今回の発表にあたっては文部科学省の答申類を確認したり、他大学の学修支援について調査したり、グループワークの方法について検討したり、と様々なことを学ぶ必要があり、発表者にとってもよい機会となりました。また、グループワークの運営の難しさを身をもって体験するよい機会ともなり、FD・SDセミナーの名の通り、職員のスキルアップとしても成果があったのではないかと考えています。
このような機会を与えていただき、ありがとうございました。