【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第107号
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☆「ビブリオバトル首都決戦2013」徳島・香川ブロック地区代表,特別賞受賞!

今年の徳島大学附属図書館にとって、「ビブリオバトル」は大きなキーワードでした。

6月の徳島初の公募によるビブリオバトル開催からはじまり、まさかの首都決戦挑戦。

そして・・・初参加にして特別賞受賞!


ビブリオバトル首都決戦の結果については、すでに県内の報道機関や大学のホームページにも掲載されていますので、ご存知の方も多いと思います。



結果は結果として素晴らしいものでした。

でも実は、そこに至るまで、そしてその現場に居合わせたことで感じたこと、これが何よりの財産なのではないか。

そんなことを思い、首都決戦に参加した「阿波ビブリオバトルサポーター」のみんなから、文章を寄せていただきました。ちょっと長くなるのですが、アツイ思いにしばしお付き合いください。


ではまず、これまでの軌跡を振る返る文章をお寄せいただいた徳島大学の大学院1年、出口桜子さんの文章からご紹介します。

ビブリオバトル首都決戦を観覧して―サポーターとしてかける思い―

11月24日、「ビブリオバトル首都決戦2013」に阿波ビブリオサポーターとして東京まで観覧しに行って参りました。

ビブリオバトルを徳島にも普及させたいという強い思いから発足した阿波ビブリオバトルサポーターの活動ですが、去年の冬に声をかけて頂きサポーターとして私も活動にずっと参加させて頂いておりました。最初は手探りの状態から、6月に文学書道館さんのご協力のもと徳島にて初のビブリオバトルを開催するに始まり、紀伊國屋さんや徳島市立図書館さんなど様々な心強いご協力で地区予選、地区決戦を開催、そして今回、首都決戦へとついに足を運んだのでした。

地区決戦を勝ち進み見事徳島でのチャンプ本に選ばれた本を紹介したのが徳島大学の卒業生で現在鳴門教育大学大学院に在学している西森貴志さんです。実は西森さんは、私の徳島大学学部生時代からの友人です。阿波ビブリオバトルサポーターが活動し始め、6月に初の試みとしてビブリオバトルを行う際、問題となったのがバトラーの数の不足でした。そんな時、読書が好きでプレゼンテーションが得意な西森さんに「ビブリオバトルというものがあって、是非出てくれないか」と声をかけたところ、快く出場してくれ、その後も地区予選、地区決戦に進み、首都決戦にまで出場することに決まった時には、「私の目は間違ってなかった」と思いました。勝ち負け以前に、何より「ビブリオバトル」を心から楽しんでいる西森さんの姿があったからです。

東京での首都決戦は、まず観覧者の数に圧倒され、全国規模でビブリオバトルが皆に楽しまれ普及しているのだなということを実感しました。西森さんを含む、全国から集まったバトラー達の準決勝が各グループに分かれて行なわれ、そこでも既に非常に白熱した戦いでしたが、その中で見事チャンプ本に選ばれて首都決戦の決勝進出が決まった瞬間、サポーターの私たちは思わず歓声をあげてしまいました。

そして何千人もの観覧者が見守る中大きなステージの上で、最後に決勝まで勝ち進んだ5人の戦いが始まりました。西森さんはトップバッターで発表し、あんな大きなステージ上で緊張する様子もなく、今までで一番笑顔で、一番楽しそうにきれいに時間をぴったり使い切り発表し終わりました。その後に続く4人の発表もとても完成度が高く、西森さんはどうなるのか?と私たちは緊張しながら、投票結果発表を待ちました。この時間が本当に長く感じ、サポーターの気持ちが一体となった瞬間であったと思います。投票の結果、西森さんは惜しくもグランドチャンプは逃しましたが、ゲストである東浩紀さん方が選ぶ賞、実質2位である特別賞に見事輝きました。本当に感動しました。

今回首都決戦をサポーターとして観に行って感じたことは、まだビブリオバトルをやり始めて間もない徳島でも、全国で戦えるちからが充分に備わっているということ、色々な方の協力があって地区予選や地区決戦が行えて首都決戦に来られたということ、そして西森さんのおかげで徳島でもさらにビブリオバトルの魅力が各所に伝わり広がっていくだろうということです。

阿波ビブリオバトルサポーターとして活動してきて、本当に良かったと感じ、またこれからも活動を続けていきたいと強く思う次第です。

総合科学教育部 地域科学専攻1年

出口桜子


では次に、首都決戦の現場で、バトラーとして戦った西森さんの文章を。あの舞台に立った者にしかわからない思いを綴ってくれました。

ビブリオバトル首都決戦2013に出場させていただき、特別賞という素晴らしい賞をいただくことができました。本当に「楽しかった」という一言に尽きる大会でした。

全国から選ばれし30人が集結した首都決戦は、その控え室からもレベルの高さがひしひしと伝わりました。会話の端々から感じられる「本への想い」と「ビブリオバトルへの想い」。徳島を出発する時に胸に抱いていたわずかばかりの自信も砕かれ、まさか自分が決勝のステージに進むなどとはとても思えませんでした。

決勝のステージからの景色を見たときの高揚感はこの上ないものでした。「ここにいるすべての人が自分の言葉を聴いてくれる」あの沸き上がるような楽しさは、あのステージに立てたものだけが感じられた特権なのでしょう。

ビブリオバトルは新しい本に出会う場所であると同時に、本に再び出会う場所でもあります。人に紹介しようと本を読み返すことによって、その魅力をまったく新鮮なものとして感じることができます。そして、聴いてくれる人と自分との間に流れる5分間の中で生まれてくる言葉を楽しめるのが、ビブリオバトルなのだろうと思います。

私がビブリオバトルに出会えたのも、首都決戦という素晴らしい舞台で特別賞がいただけたのも、阿波ビブリオバトルサポーターのみなさんが、徳島のビブリオバトルを作り上げてきてくださったおかげだと思っています。みなさんの作った船に乗せていただき、首都決戦までつれていってもらいました。そこで特別賞というものを持ち帰れたのは、多少なりとも恩返しが出来たのかなと、嬉しく思います。今後、自分も阿波ビブリオバトルサポーターの一員として、ビブリオバトルの魅力を多くの人に知ってもらい、そして、徳島からグランド・チャンプ本が生まれるよう、力になれればと思います。

みんなでビブリオバトルしましょう!!

鳴門教育大学大学院学校教育研究科1年

西森貴志


ビブリオバトル首都決戦には、出口さんの他、阿波ビブリオバトルサポーターの新代表、斉藤さん、新副代表、大西さん、元代表の山下さん、サポーター教員の依岡先生、図書館職員の佐々木が応援に行っております。


それでは、今後徳島のビブリオバトルを引っ張って行ってくれる新代表、副代表の思いを聞いてみましょう。

まずは新代表の斉藤さんから。

2013年11月24日秋葉原。普段は萌えを求める者たちが集まるこの街に、この日は本への熱い情熱を持った者たちが集結した。

ビブリオバトル首都決戦2013は私にとって感動の嵐だった。全国の代表者たちの発表、ビブリオバトル考案者の谷口忠大さんのお話…。感動するところはたくさんあったけれど、その日私に一番の感動を与えてくれたのは阿波ビブリオバトルサポーターに対する西森さんの感謝の言葉だった。

ビブリオバトルは人と人とをつなぐもの。今回そのことを改めて感じた大会でもあった。私は阿波ビブリオバトルサポーター新代表として、本と人、人と人とをつなげていけるような活動をこれからもしていきたいと思う。

総合科学部人間文化学科3年

齊藤桃子


副代表の大西さんは・・・

私は今年から阿波ビブリオバトルサポーターに加入し、まずはイベントの普及を第一に、ビブリオバトルの運営に携わってきました。

今回徳島県代表の方が全国の舞台で賞を受賞されたことは、サポーターとしても無上の喜びでした。

私はこの活動に関わって、特別賞を獲得した西森さんをはじめ、今までのイベントで参加されたバトラーの方々、サポートメンバーなど、

たくさんの方と出会い、様々なことを学びました。

ビブリオバトルは本を用いたコミュニケーションゲームですが、何より本を通した人との出会いが最大の魅力であると思います。

自分たちでイベントを重ね、首都決戦という大きな大会を観戦したことで、この思いがさらに強くなりました。

今後、さらに徳島でのビブリオバトル活性化を目指し、活動にまい進していきたいと思っています。

総合科学部人間文化学科3年

大西真央


依岡先生からもお言葉をいただきました。

ビブリオバトル奮闘記

ここまで大きくなるとは思わなかったというのが、正直な感想。1年前に始めた徳島のビブリオバトル活動は、様々な困難に遭遇しながらも、このたびの「ビブリオバトル首都決戦2013」における西森君の特別賞受賞で、大きな成果を得ました。

私も阿波ビブリオバトルサポーターの教員サイドの一員として微力ながら支援してきたつもりですが、附属図書館の皆さんの力なくしては、企画運営は難しかったと思います。また徳島県立文学書道館や徳島市立図書館のご協力、マスコミの方々のサポートも嬉しかったですね。

でも、なんといっても一番の立役者は、山下代表をはじめとする学生たちです。学生らの奮闘なくして、この成果はなかった。西森君も受賞コメントでそのことに触れてくれましたね。学生たちも大きな感激とともに人とのつながりの大切さを実感したようです。この活動、さらにどんどん大きくなる予感がしています。

総合科学部教授・依岡隆児


最後に、元代表の山下さんに締めていただきましょう。

「小さな応援団が行く!ビブリオバトル首都決戦2013」

“甲子園”と聞くと何を想像するだろうか。照りつける夏の日差し、人々の熱気、高校球児の白いユニホーム、ブラスバンドのトランペットの音、たくさんの応援団の熱い声援――。

実は、ビブリオバトル首都決戦は「書評の甲子園」を目指している。本が好きな大学生が地方予選を勝ち抜き、東京都にあるベルサール秋葉原の決勝の舞台を目指す。この大会がいつかあの野球の甲子園のように熱戦が繰り広げられ、多くの人を魅了するものになることを目指しているのである。そんなビブリオバトル首都決戦に阿波ビブリオバトルサポーターは初参戦を果たした。初参戦なものだから気合いも入り、徳島・香川ブロック代表の鳴門教育大学院生の西森貴志さんの応援のため、私たちは前日の夜22時に東京行きの夜行バスに乗り込んだ。総勢6名の小さな小さな応援団である。トランペットも太鼓もなければ、お揃いのタオルもない、夏の甲子園の応援団に比べると、なんともお粗末な応援団である。しかし、私たち阿波ビブリオバトルサポーター応援団はビブリオバトル首都決戦関係者に大いに驚かれる団体であったようである。

ところで、大会の模様は他の応援団の子達が劇的かつ感動的に語ってくれていると思うので、「小さな応援団が行く!ビブリオバトル首都決戦」では、西森さん特別賞おめでとうございます、大きな感動をありがとうございました。私は西森さんに投票しませんでしたが、とても素敵な発表でした!程度にまとめておく。

さて、総勢6名の応援団は西森さんの特別賞受賞に大興奮だった。会場の外で西森さんを待っている間も「よかったね。」「凄かったね。」と西森さんの健闘を称えていた。そんな私たちに、今回の大会の準決勝の司会を務めた貝森さんが声をかけてくださった。貝森さんはビブリオバトルを通じて知り合った宮城の方で、大変パワフルな男性である。パワフルな貝森さんのパワーによって、私たちはなんとビブリオバトル首都決戦関係者の打ち上げにお呼ばれすることとなってしまった。そこで「応援にくるなんてすごい!」「夜行バスで応援とはすごい!」と小さな応援団はたいそう驚かれてしまった。なんでも、応援は“地元でインターネットの配信を通して行う”ことが普通だったそうなのだ。応援団として会場に乗り込んでくるとは、熱意の固まりのような集団だと思われてしまったようである。6人の小さな応援団は、ビブリオバトル首都決戦においては大きくてパワフルな集団だったのだ。トランペットも太鼓もなければ、お揃いのタオルもない。持っているのは日帰り夜行バスの往復チケットと熱意だけという阿波ビブリオバトルサポーター応援団は、小さいけれど大きな応援団。自分で言うのもなんだが、最高の応援団だった。

ちっさいでっかい応援団が徳島に帰りついたのは大会の翌朝6時過ぎ、誰も彼もがヘトヘトだった。「眠い」という欲求と闘いながら、おのおのが帰路についたのであった。

阿波ビブリオバトルサポーター 元学生代表

徳島大学総合科学部人間文化学科4年

山下 沙綾


彼女は、右も左もわからないところから本当に頑張って、大きな大会運営から小さい広報活動まで奮闘してくれました。

ありがとうございました!お疲れ様でした!と声を大にして言いたいです。


図書館職員の佐々木の文章が載っておりませんが、書くとアツくなりすぎるのでこの編集に徹することにしました。

・・・といいつつ、一つだけ心に残った言葉があるので、それを紹介して、私の思いとしておきます。

ビブリオバトルの会場で、作家の東浩紀さんが語った言葉です。

「言葉には2つの力がある。短い言葉で事実をつかまえる力、これは『政治の力』。一方、長い文章で現実とは違う世界に連れて行く力、これが『文学の力』。この2つのバランスが必要なんです。」


最近では『政治の力』の方ばかりが重要視されてしまっていて、出版されている本の中にもそのようなものが増えているように感じています。現実を少し離れて、現実を超えるものに触れること。それが世界を豊かにするんだろうなあ、と感じました。そして、ビブリオバトルがそういった本と出合う場になれば、と。

これもまたあの会場で、東浩紀さんから聞くことができたからこそ、胸にストンと落ちたのだと思うと、やはり現場に立ち会うことは大事なのです。そういう機会をもっともっと作りたい。


というわけで、首都決戦で一つの区切りがつきましたが、ビブリオバトルはまだまだ続く・・・。

今後の活動にご注目いただければと思います。



追記:

12月19日(木)には、ビブリオバトルに関する報告会も開催します。

ビブリオバトルに興味のある方は、ぜひご参集ください。


懇談会「徳島における若者読書文化の形成」

~徳島大学総合科学部・地域交流プロジェクト

「徳島における若者読書文化形成プロジェクト―地域と他大学連携によるビブリオバトル(知的書評合戦)の実践から―」の報告より~


日時:2013年12月19日(木)17:00~18:30

場所:徳島大学総合科学部1号館第1会議室

発表内容:

1 開会のあいさつ 活動報告   依岡隆児(総合科学部教授)

2 ビブリオバトル活動報告 山下沙綾(総合科学部4年生) 

3 高大接続の試み  斉藤隆仁(総合科学部准教授)

4 図書館における取り組み  佐々木奈三江(附属図書館司書)

5 意見交換会(パネリストは上記のメンバーと関連する県下の図書館、文学館の方々)

6 閉会のあいさつ


※終了後阿波ビブリオバトルサポーターによるビブリオバトルのデモンストレーションも行います。


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