【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第105号
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「第3回 大学図書館 学生協働交流シンポジウム」に参加しました

現在、大学図書館では、より多くの学生によりよく図書館を活用してもらうため、学生スタッフが図書館で様々な取り組みを行うことが多くなっています。

大学図書館学生協働交流シンポジウムとは、大学図書館で活動する学生協働スタッフが集い、活動状況を共有し、交流することをとおしてそれぞれの大学でのより発展的な活動に結び付けることを目的として開催されているものです。


第3回 大学図書館 学生協働交流シンポジウム

徳島大学附属図書館でも、2010年からは,学生・教員・図書館職員からなるライブラリー・ワークショップという団体が活動しており、今年度からは、図書館での学習支援活動「Study Support Space」を企画・運営するため学生・教員・図書館職員からなる団体「SSS企画チーム」が活動を行っています。


そこで、これらの活動に参加している学生3名を引き連れ、9月5日(木)~6日(金)にかけて島根大学で開催された「第3回 大学図書館 学生協働交流シンポジウム」に参加してきました!


初参加でしたが、欲張って口頭発表とポスターセッション、2つにエントリーしました。

しかもポスターは2枚作成!

こんな矢筒型のケースを職員が手作りし、大事に背負っていざ出発です。


大判プリンタのロール紙の芯で作成した矢筒型ケース

大判プリンタのロール紙の芯で作成した矢筒型ケース

1日目は基調講演、口頭発表、ポスターセッションが行われました。


基調講演は大阪芸術大学図書館 多賀谷津也子氏による「学生目線でつくる新しい図書館の形」。

多賀谷さんは、図書館で学生企画の展示会を開くという画期的な活動をされており、その活動は著書「図書館を演出する: 今、求められるアイデアと実践」として報告されています。


「図書館を演出する : 今、求められるアイデアと実践」の所蔵情報

http://opac.lib.tokushima-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?mode=comp&isbn=9784904678268



以前にこの本を読んで、今後図書館が進む方向を示唆するものとして大変興味を持っていたので、実際に著者の多賀谷さんにお会いし、苦労話も含めてお話を伺うことができて、それだけでも感激してしまいました。

この活動は、普段図書館を使わない利用者を引き込むこと、学生の学習成果の発表の場として図書館を使うこと、図書館に関わる学生を増やすこと、図書館を魅力ある場所とすること、と様々な側面をもっていますが、中でも、図書館の「場」の力の重要性には感じるところがありました。

学生の資質と図書館職員の熱意が結実した素晴らしい活動で、徳島大学でもささやかながらこのような活動ができればいいなあ、と感じた次第です。


さて、口頭発表ではいよいよ徳島大学が登場します。

「徳島大学附属図書館の活動について」で、ライブラリー・ワークショップ、SSS、阿波ビブリオバトルサポーターについて、メンバーである出口さん(本学大学院生)が発表してくれました。


発表の様子はこちら

発表の様子

発表の内容はこちら


その後のポスターセッションでは、SSSの発表が大盛況でした!

口頭発表がなかったこともあり、また今図書館では学習支援が課題となっているため、多くの職員の方が色んな質問をしていました。例えば、先生はどうやって選んだの?とか、どんな内容の質問が多いの?アドバイザーの報酬は?などです。

図書館・学生からの声かけで、先生がボランティアでアドバイザーになってくださる、という事例は大変珍しく、改めて大変なことだったんだな、と感じました。

協力いただいている先生方に感謝です。


混雑しているポスターセッション

混雑しているポスターセッション

ライブラリー・ワークショップのポスターはこちら

SSS企画チームのポスターはこちら


他の大学では、学習支援よりは、図書館業務サポートや色んな企画の発表が目立つ印象でした。

なによりも印象深かったのは、参加学生のモチベーションの高さです。

あんなに多くの学生が、あんなに図書館のために活動してるなんて・・・。

ちょっと感動です。内情は色々あるのかも知れませんが、少なくとも学生は楽しくやって、成長しているように思えました。


2日目は、ワールドカフェ形式のグループディスカッションを行いました。

テーマは「人を惹きつける図書館をつくるためにあなたは何をしますか?」

あれこれと話しましたが、結局人や雰囲気も含めた、居心地のよい図書館であること、そして、図書館の活動を知らせるための広報が大事だということに落ち着きました。


という訳で、それぞれ色んな出会いやアイディアをお土産に、盛会のうちにシンポジウム終了です。

その後は希望者で島根県立大学の「おはなしレストランライブラリー」へ。たくさんの絵本がある、可愛い場所です。

ここで活動してる学生図書委員の方が、絵本の読み聞かせをしてくれました。

「どこいったん」「だるまさんと」「めっきらもっきらどおんどん」の3冊でしたが、とても上手でした。

島根県立大学の図書館にもお邪魔しましたが、小さいながら学生さんの熱心な活動がよくわかる図書館でした。


今回の島根行きは、台風の影響で行きのJRが止まってしまい、波乱含みのスタートでしたが、かえって私たちの結束も強まり、大変成果の多いものとなりました。


島根大学をはじめ、お世話いただいた方、学生のみんな、お疲れ様でした!


・・・ここまででもけっこう長いのですが、以下に、学生さんからの感想も掲載します。色んなことを吸収してくれたようで、これからの活動が楽しみです。


<SSS企画チーム>

総合科学部社会創生学科1年 枝川恵理

9月5、6日に島根大学で開催された「大学図書館の学生協働交流シンポジウム」に参加しました。他大学からも多くの参加があり、どの団体も図書館での活動に熱心に取り組んでいる様子が伝わってきました。例えば島根大学附属図書館の発表では、学生の利用サポート体験に基づいた反省点・気づきが挙げられていました。コンシェルジュ同士の意見を交換する場を増やすことでサポートを充実させる、レファレンスごとの対応をきちんと把握する、といったことですが、このような些細な反省点・気づきが学生によるピア・サポートにおいて重要ではないかと感じることが出来ました。

私が参加している活動「SSS」は、図書館職員の方々や教員の方々の協力があって成り立っているものです。その上で、今後は私たち学生スタッフによるピア・サポートという形を念頭に置いて活動をしていきたいです。


工学部光応用工学科2年 斉藤くるみ

2013年9月5・6日に島根大学松江キャンパスにおいて開催された「第3回 大学図書館 学生協働交流シンポジウム」に参加した。そこでは「私たちの手でつくり出す図書館の形 ~人を惹きつける空間を目指して~」というテーマのもと各大学が口頭発表やポスター発表で取り組みを報告した。その後ワールド・カフェ形式で「人を惹きつける図書館をつくるためにあなたは何をしますか?」というテーマで議論を行った。発表や議論によって図書館に係る人たちのもっとたくさんの人に図書館を利用してもらいたいという思いに触れることができた。今まで考えたことのなかった「図書館に来てもらう方法」「宣伝方法」「本を読まない人も見に来たくなる展示」についても考えることができた。本シンポジウムで学んだ視点や図書館を盛り上げたいという情熱をこれからの活動に生かしていきたい。


<ライブラリー・ワークショップ>

大学図書館の学生協働交流シンポジウムに参加して―図書館の形とは―

総合科学教育部 地域科学専攻1年 出口桜子

このたび9月5~6日に開催された、島根県での大学図書館協働交流シンポジウムに参加させて頂きました。私は日頃から徳島大学におけるライブラリー・ワークショップや阿波ビブリオバトルサポーターという団体の活動や、「繋ぎCreate」による「SSS(スタディー・サポート・スペース)」という学習支援に積極的に活動しているので、図書館の職員さんに「参加して発表をしてみませんか」と声をかけて頂いた時、すぐに「してみたいです」と返事をしました。開催地の島根県の大学はもちろんのこと、山口大学や筑波大学、大阪芸術大学など、全国各地の様々な大学から学生が参加するということで、本大学の図書館で活動している身として、他の大学の図書館ではいったいどのような団体があり、また、どのようなことが行われているのかについて詳しく知ることができる良いきっかけになると思いました。それと同時に、各大学の学生が図書館をより良くするために積極的に意見を出し合うこのシンポジウムに参加することで、改めて気付くことが多くあるのではないかと期待を抱いて島根県へと向かいました。

シンポジウムの前日は台風の影響で悪天候でしたが、当日は台風も無事に過ぎ去り、快晴のなか開催されました。会場の広さや98名もの学生の参加者に圧倒されながら、まず大阪芸術大学図書館の課長でいらっしゃる多賀谷津也子さんによる基調講演を聞かせていただき、芸術大学ならではの取り組み(図書館内にアートな作品を展示し利用者を増やす・楽しませるなど)に大変興味を持ちました。多賀谷さんは図書館についての本や論文を書かれているので、是非ともそちらも読んでみたいと感じています。

〈セッション1〉での「学生目線でつくる新しい図書館の形」において、徳島大学代表としてプレゼンテーションにて発表をさせて頂きました。ライブラリー・ワークショップや阿波ビブリオバトルサポーターの活動について報告しました。ここでは他にも5つの大学の発表がありましたが、同じようにビブリオバトルにちからを入れている大学図書館や、ライブラリー・ワークショップのような図書館をより良くするための団体がそれぞれに様々な企画やイベントを行っていることを知りました。私が特に興味を持ったのは、山口大学の、破損してしまった本を学生が修復する活動や、島根県立大学の、自習ブースが消しゴムのかすで汚れてしまわないように消しかす入れを作成し配置する活動です。これらは利用者の立場を考え実行されている、非常に良い活動の一例だと感じました。

〈セッション2〉においては、ポスターセッションを行いました。一緒にシンポジウムに参加した「繋ぎCreate」のメンバーである学生2人が「SSS(スタディー・サポート・スペース)」について発表し、私はライブラリー・ワークショップの活動について発表をしました。SSS、ライブラリー・ワークショップともに興味を持ってくれる方がとても多く、様々な質問をして下さり、今後の課題なども考えさせられた良い機会でした。

私が今後図書館で活動を続けていくうえで特に為になったと感じたのは2日目の〈セッション4〉でのディスカッションです。この時間は、参加者がいくつかのグループに分かれ、「人を惹きつける図書館をつくるためにあなたは何をしますか?」というテーマでそれぞれに自由に意見を出し、話し合いました。私のグループではまず「どうすれば図書館に人が来るようになるか?」という疑問をもとに話を膨らませていき、日頃図書館を利用しない人のためにカフェスペースを設ける、または広げたり充実させたりするなどの意見が出ましたが、最終的には、やはり学部1年生が入学してきた時期に図書館の利用方法や魅力を存分に伝える「図書館ツアー」をオリエンテーションのなかに組み込んで必ず全員に体験してもらうことが有力なのではないかということに落ち着きました。他のグループでも、非常に白熱した話し合いが行われ、盛り上がった良いディスカッションの場であったと思います。

2日間の学生協働交流シンポジウムに参加させて頂いて一番に感じたことは、やはり職員や教員はもちろんのこと、学生がこのように真剣に図書館について改善点を探そうとしたり、利用者のことを想い活動していたりすることがより良い図書館作りに非常に大きく貢献しているのだということです。私自身も今回のシンポジウムを通して、この経験を今後の図書館での活動に役立てていきたいと強く思っています。

今回は、このような素晴らしい機会を与えていただき、本当にありがとうございました。


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