【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第103号
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☆全学共通教育講義「ソーシャル・メディアリテラシー」講義録

図書館では、昨年度に引き続き、全学共通教育の授業に参画しました。

講義名は「ソーシャル・メディアリテラシー」。シラバスをみると、「ブログ、ツイッター、フェイスブック、YouTubeを中心に、ソーシャルメディアの基本、使い方、セキュリティ、マナー、活用法などについて、クラスメイト、教職員との協調学習、ワークショップ、iPad利用による実践体験などから学びます。」と、なっていて、とても楽しそうな授業内容です。おかげで授業登録者は39名と昨年度よりほぼ倍増。

講師陣は昨年度と同じ、吉田敦也先生、斉藤隆仁先生、依岡隆児先生で、図書館からは佐々木、溝木(技術サポート)が参加しました。

今回、図書館が担当したのは4コマ。順を追って簡単に見ていきましょう。

4月18日「学内公共空間でのネット/機器利用」

この日はいきなりボスの吉田敦也先生がお休みだったので、オリエンテーションも兼ねて図書館ツアー。

公共のデジタル機器を使うときの注意点について説明を受けながら、図書館のiPadを使って授業ページに感想を書き込む作業。

習ったことは、即実践! これがこの授業の特徴です。

4月25日「スカベンジャーハント in Library」

スカベンジャーハント? 何それ? というリアクションを期待しつつ授業を展開。

スカベンジャーハントとは、いわゆる「宝探しゲーム」です。

チームに分かれ、図書館の資料やインターネットを使って、徳島大学や先生方、図書館に関係のあるクイズに答えていきます。

例えば・・・

  1. 「野村あかり」とは誰か。ヒント:徳島大学に関係のある人です。
  2. 徳大にある「宇宙桜」の写真をとってアップしよう。
  3. 徳島大学に、依岡先生の本は何冊あるか?
  4. 徳島大学附属図書館の「本館1階西書庫」には、「斉藤隆仁先生」の本があります。この本の著者は、この授業を担当している「斉藤隆仁先生」と同一人物か否か。判断の根拠とともに回答せよ。

などなど。これらの回答を授業のページに書き込み、一番に全問正解したチームが優勝となります。


この授業の狙いは、楽しみながら、図書館活用方法、Facebook活用方法、チーム作業を体験すること。

インターネットをいかにうまく使えるか、図書館のOPACが使えるか、検索結果から論理的に考えて答えが導けるか、などのスキルとともに、仲間とうまくコミュニケーションがとれるか、も勝敗を分ける要因になります。

この講義をとっているのはほとんどが1年生なので、チーム作業に四苦八苦しながらも、楽しそうに取り組んでくれました。いや、ほんと反応がよくて驚きました。

そして、ここで出題した「7. 図書館体操の創始者は誰か? 図書館体操をやってみよう。」が、このあと、授業の中で大きな展開を見せるのですが・・・、それは後述。

5月9日「ビブリオバトル予選」

ビブリオバトルとは、本の紹介ゲームです。ゲームのやり方は簡単。

  1. 面白いと思った本を読んできて持ち寄り、
  2. 順番に1人5分間で本を紹介し、
  3. 参加者全員でその発表に関するディスカッションを行い、
  4. 「どの本を最も読みたくなったか」を基準に、全員で投票を行い、
  5. その日の「チャンプ本」を決定する。

ビブリオバトルは全国的に広がりを見せており、徳島でも6月23日に大々的に開催しました。

(すだち102号 http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/m-mag/back/102/102-6.html


「ソーシャル・メディアリテラシー」の授業では、宮城教育大学とスカイプで「ビブリオバトル」をやる、というのが大きなテーマになっており、5月9日は、その予選を行いました。

受講生が多いため、予選会場を講義室と図書館に分け、スカイプで繋いで、お互いの会場の状況を確認しつつ授業を展開します。学内であっても会場が離れていては、通常何が行われているかは見えないわけで、これがスカイプの面白いところです。

みなさん初めてのビブリオバトルですから、緊張したと思いますが、上手なプレゼン、個性的なプレゼンがあり、徳大生、やるなあ、と感心していました。

全員が全員のプレゼンを聞くことはできなかったので、授業のページに紹介した本を書き込み、情報共有。

宮城教育大学とのスカイプに向け、テンションも上がってきました。

5月16日「スカイプ・ビブリオバトル」

5月9日の予選で選出された4名と、宮城教育大学のビブリオバトルサークル「BIBLIon」4名とで対戦。

お互いに自己紹介をし、交流を深めつつ、ビブリオバトル。

ちなみにビブリオバトルのキャッチコピーは「人を通して本を知る。本を通して人を知る」。

本当に、ビブリオバトルをすると、その人の個性があらわれて、その後の会話がスムーズにできる気がします。

そして結果は・・・「BIBLIon」は強かった! 本の選び方も素敵ですが、みなさん本当にプレゼンがうまい!

読んでみたい! という気持ちにさせられます。

団体戦と個人戦を行ったのですが、団体戦は、徳大31票、宮教大46票、と大差をつけて敗れてしまいました。

しかし、個人戦では、徳大の別所さんが紹介した本がチャンプ本に!一矢報いることができました。

チャンプ本に選ばれたのは、この本。

齊藤、正明「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」(毎日コミュニケーションズ、2009)

ちなみに、別所さんはこの後、徳島初のビブリオバトルにも出場し、見事チャンプに輝いたのでした。


と、図書館の授業はここまで。

この後は、他の先生の担当で、ブログを作ったり、Youtubeに動画をアップしたり。

どうすれば皆に見てもらうことができるのか、ということを念頭に作っていきます。

ここで、動画として取り上げたのが「図書館体操」です。

学生は図書館体操について調べるために、図書館体操の創始者の庄子さん(東北「みちのく図書館員連合」所属)に直接コンタクトをとるなど、ソーシャル・メディアを使ってどんどん自分の世界を広げていきます。

また、図書館体操の中にある「書架から離れてくださーい!」(地震の際の利用者への呼びかけ)というセリフを大きな声で言えるよう、スカイプで東京の講師の方から発声レッスンを受けたりもします。

そしてできたのがこの動画。

みなさん、お疲れ様でした・・・。

その後は、TEDカンファレンスを見て色んな意見に触れ、自分の意見を発信させることの重要性を学んだり、おすすめの本をブクログで紹介しあったり、と様々なソーシャル・メディアを使ってみました。

そして、最後はリベンジ!ふたたび宮城教育大学とのビブリオバトルです。

約2か月後の対決でしたが、徳島大学の学生の成長ぶりは素晴らしかった。

団体戦は徳島大学19票、宮教大21票という結果に!

わずかに及びませんでしたが、2票差まで追い上げました。

そして、個人戦は、今回も徳大に軍配があがりました。

この時のチャンプ本は、この本。

重松清「きみの友だち」(新潮文庫、2008)

最後に、授業の感想を、それぞれの学生が作ったブログに書いてもらいました。みんな、楽しみながら色んなことを学んでくれたようです。

この授業では、点数で測れるような知識を教えたりはしなかったけど、やったことはいつの間にか自分の血肉になっていて、必要とあらばそれを自分で発展させていくことができるようになっている、学生さんそれぞれの中にそんな種をまくことができたと思っています。

そこからどんな収穫があるのか、この授業を受けた学生さんたちのその後を、図書館で楽しみに見ていきたいと思います。


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