【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第100号
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◇学生と教職員の協働による学修支援

徳島大学教育改革推進センター助教 吉田博

近年、学生の学修時間が短いことが問題とされており、各大学では対策を講じているが、その中の1つに学修環境の整備が挙げられる。特に、学生が学修を行う場として、図書館にさまざまなタイプの学修スペースを整備する取り組みが存在する。学修の目的に応じて、学生が静かに個人学修を行う場所、グループで話し合いながら学修を行う場所やディスカッションを行う場所などが創られている。


2012年1月、徳島大学附属図書館本館では、学生がグループ学修を行うことができる「ラーニング・コモンズ」を整備した。その後、学生が図書館で会話をしながら学修する姿が見られるようになったが、さらに学生の利用を促進する工夫が重要になる。そこで、2013年1月、学内においてピア・サポート活動を行っている学生チーム「繋ぎcreate」が、学生の期末試験に関する学修支援や、学修そのものの見直しを目的とした「スタディレスキューWeeeeeK」を企画した。


スタディレスキューWeeeeeKは、複数の教員が特定の時間、ラーニング・コモンズに待機し、学生の学修に関する質問に答え、アドバイスを行うものである。数学、物理学、心理学などを専門とする8名の教員の協力を得て、1月21日(月)~25日(金)の5日間実施し、33名の学生が相談に訪れた。ここで行われる学生と教員とのやり取りは、問題に対する質問をきっかけにして、ノートの取り方やレポートの書き方、学修に向かう姿勢などのアドバイスにまで発展した。学修に向かう姿勢や学修の仕方などは、学生はこれまでに教わったことがなく、学力不振の要因として学修内容を理解する以前のところで行き詰っているケースがある。これらのことは、大学生ならば知っていて当然であるとされているが、少子化や社会の多様化に伴い、さまざまなタイプの学生が大学に入学するようになった現在においては、求められる支援である。


今回、スタディレスキューWeeeeeKを企画した繋ぎcreateの学生メンバーは、4か月間かけて事前準備を行った。学生の相談が多くなると考えられる科目の調査、実施時期・実施方法などの検討、企画書の作成、チラシの作成や掲示、教員に対する協力依頼など、図書館職員の協力を得ながら学生の主体のもと進められた。今回の企画では、学修支援によって、学生の学修への取り組み方の改善や意欲の向上が実現するだけでなく、企画を運営する学生にとっても、自身の学修に対する取り組み方、社会性の育成にもつながったと考えられる。2013年4月からは、スタディレスキューWeeeeeKをさらに発展させ、協力教員をさらに増やし、大学院生の協力も得て、同様の学修支援を日常的に実施する「Study Support Space」を開催することとした。今後は、学修支援の充実だけでなく、学生が主体的に関わる学生支援(ピア・サポート)の拡大も大学における重要な課題の1つとなる。学生と教職員が協働して学生支援をすすめて行くことが出来る体制を,大学として整えることに期待する。


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