【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第97号
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○<不定期連載>読書Fun!〜司書Sが楽しく読んだ本をご紹介します(第19回)

不定期というか、年2回掲載になってしまっている感のあるこの連載。

今回も、前回に引き続き、全学共通教育講義「iPadで育てるグローバル学習戦略」で紹介した本を紹介します。


この授業では、「ソーシャルリーディング」として、iPadを使った読書会を行いました。

「ソーシャルリーディング」とは簡単に言うと「オンラインで読書体験の共有」をすること。

ソーシャルリーディングでは、通常は、同じ時間、同じ場所で参加者が集まって行う読書会を、インターネットを介して行うことで、時間や場所に拘束されずに楽しむことが出来ます。

さらに、ネット上の様々なツールやサービスを使うことで、コメントをつけたり感想を共有したりすることができるなど、新しい可能性をもった読書会です。

今回の授業では、学生、教員、職員がそれぞれ、

  1. 「世界に発信したい本」というテーマで本を選び、自分のブログに掲載し、推薦理由を書く
  2. 他のメンバーのブログをみて自分が読みたいと思った本を選び、必ず本文を引用してコメントをつける。

という作業を行いました。その後、授業で、それぞれの本についてディスカッションを行いました。


ここで私が紹介したのは、3冊+1冊(ブログのみで紹介)。

ブログで紹介したものををそのまま転載します(手抜きですみません・・・)。


宮澤賢治「貝の火」


http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1942_42611.html

宮澤賢治の童話の中でも短いものです。宮澤賢治の仏教思想が美しく表現されていると思います。はじめて読んだときは、結末の意味がわかりませんでした。大人になって読んだときには、この結末しかない、と思いました。自分の心の変化(成長?)を実感した一編です。

音の響きも美しいので、音読してみると楽しいかも。


西岡常一「木のいのち木のこころ」1995年 草思社


図書館の所蔵箇所:本館2階東閲覧室 

請求記号:526.18||Ni||1


著者は法隆寺の宮大工。1000年の時を越えて伝承されてきたものを、後世に伝えていくのだという著者の矜持が伝わります。日本のものづくりはどのように継承されてきたのか、そして今何が忘れられようとしているのか、ということを考えさせられる本です。聞き書きなので、話が重複する部分もありますが、読みやすい本です。


柳瀬尚紀「日本語ほど面白いものはない」2010年 新潮社


図書館の所蔵箇所:本館3階東閲覧室 

請求記号:810.4||Ya


言葉を自在にあやつる翻訳者が小学生に授業をしたときの実践記録。子どもはよいものを得れば驚くほど伸びる、ということがよくわかります。楽しんで学ぶ、という日本の教育で忘れられがちなことが、見事に実践されています。読んでいると自分も参加したくなります。


吉村仁著 ; 石森愛彦絵 「素数ゼミの謎」2005年 文藝春秋


図書館の所蔵箇所:本館2階東閲覧室 

請求記号:486.5||Yo


絵本のような本ですが、もとは立派な学術論文です。アメリカで周期的に大発生するセミの謎を追及した研究をわかりやすく解説しています。数学と生物学のリンクが面白くて、ワクワクします。こんな研究をしたのが日本人だ、ということが面白かったので推薦。


今回、授業で紹介した3冊は、それぞれ学生さんに読んでもらうことができました。

オススメの本を読んでいただいて、コメントをいただく、というのはうれしいことですね。


いずれも、読みやすいけど、何かが心に残る本ばかりです。

みなさんも、ぜひどうぞ。


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