【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第75号
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附属図書館長就任にあたって

徳島大学附属図書館長 野地澄晴

この度、附属図書館長を拝命いたしました野地澄晴(大学院ソシオテクノサイエンス研究部・教授 併任)と申します。就任にあたり、この場を利用して、ご挨拶させていただきます。際田前館長、また図書館職員のご尽力により、図書館が持っていた多くの問題が解決されています。従って、私は、その確立された道をまずは歩いて行くことにします。

蔵本分館の拡張、改修

その一つは、蔵本分館の拡張、改修です。いよいよ平成23年9月から工事が本格的に始まり、平成24年2月末までには完成予定です。9月からそのために分館が一時利用できなくなります。まことに、ご不便をおかけして申し訳ありませんが、ご理解いただくようお願い致します。もちろん、その間の臨時の措置として、蔵本会館2階西側に仮設図書館の開設を予定していますので、ご利用ください。詳細につきましては、またお知らせいたしますので、よろしくお願い致します。

変化する図書館?共通の情報交換の場へ

多くの学生あるいは教員は、本や雑誌の電子化により、これまでのように図書館で本を借りたり、コピーして読む必要がなくなりつつあります。そのため、必然的に図書館に足を運ぶことも非常に少なくなってきています。既に、多くの論文はPDFとして入手でき、電子書籍と呼ばれる電子機器のディスプレイで読むことができる“本”が登場し、iPadなどで本が読めるようになってきています。電子雑誌や電子書籍はネットからダウンロードして読むことになってきたので、図書館に本を借りに行く必要もなくなり、重い書籍を鞄に入れて、持ち歩く必要がなくなってきました。もちろん、大学の図書館は情報の拠点として、必要不可欠な存在ではありますが、次第に空気のような存在になり、なかなかその重要な存在を認識してもらえないのも事実です。そこで、利用者が本を探し、黙々と本を読む場所としての図書館から、別の概念の図書館に変身する必要があると考えられています。その一つの現われが、図書館の中にあるカフェテリア(ドリンクコーナー)です。図書館の概念を変える試みは、すでに海外で行われており、その概念はラーニング・コモンズと呼ばれています。つまり、大学の図書館は、学生、教員、市民の共有の場として存在し、その場で生に情報交換し、情報を得たり発信したりする場所として機能する空間であるとの考えです。そのための一つの設備がカフェテリアです。米国の大学図書館には、学習の指導をしたり、教員のプロジェクト申請をサポートしたりするサービスを行っているところもあります。海外での図書館運営をそのまま日本の大学の図書館運営にあてはめる必要はありませんが、自由な発想で、新しいコンセプトで図書館を運営する必要があります。

徳島大学の情報を外に発信しよう-機関リポジトリ

大学では、日常的に多くの学術雑誌掲載論文が作成され、電子化された学位論文、修士論文などが執筆されています。また日常的に教育・研究活動の中で多くの文書、講義ノート、教材等が作成されています。これらの知的生産物を一般に公開し、情報の共有化をはかることを目的として、電子アーカイブシステムが各機関に構築されています。徳島大学もこの機関リポジトリを構築しており、図書館では多くの皆様の協力を得て、充実した電子アーカイブシステムを構築していますので、是非ご協力をお願い致します。もちろん、著作権の問題などがあり、簡単に公開することができない場合もありますが、公開できるものから順に公開してゆく予定です。

貴重な資料の保存と展示

徳島大学附属図書館には、江戸時代に阿波・淡路両国を支配していた徳島藩及び蜂須賀家関係の史料が収蔵されています。さらに、近世古地図・絵図コレクションがあります。 貴重資料ポータルは、http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/k-portal/index.htmlです。是非アクセスしてみてください。これらの貴重資料を保存し、公開してゆくことも本学図書館の役目なので、さらに充実させる予定です。本学工学部はLEDの研究を推進しており、LED関連の貴重資料の収集も必要であろうと考えています。


以上、本学附属図書館の今後の方向性を簡単に紹介しました。皆様のご協力をいただき、さらに図書館を発展させる所存ですので、よろしくお願い致します。


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