【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第73号
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○M課長の図書館俳句散歩道(如月・立春・梅の巻)

2月は如月ですね。和風月名の呼び名は,季節感があって味わい深いものがあります。語源でよく言われるのが,寒さが厳しいので衣をさらに重ねて着る「衣更着」,陽気が更によくなってくることから「気更来」などがあります。言葉の響き,漢字の持つ意味や和風感,美しい言葉の奥ゆかしさに気持ちも更に和みますね。

言葉の種を図書館に見つけに来ませんか?  あなたの心が春に花を咲かせます。

如月や 言の葉訪ね 書庫巡り

2月3日は節分,節分とは「季節を分ける」ことを意味し立春の前日を指します。立春は二十四節気の一つで,この日から春とされています。太陽歴ではこの頃が一番寒いと言われていますが,これから暖かくなっていくという分岐点として「春立つ」の言葉が日本人の心にふれ,俳句の中でも数多く詠まれています。

春立つや愚の上に又愚にかへる  一茶

一茶が還暦を迎えても尚,「私は愚かな者で至らない者です」の意で,非常に謙虚な気持ちになるという心情に,あらためて人としての器の大きさを感じます。

「春風に箸を掴んで寝る子哉」「春の風艸深くても故郷也」境遇として決して恵まれなかった一茶の俳句に,春を求め,春の心でいたいと願う気持ちをせつせつと感じます。

図書館に春をさがしに来ませんか?  心がぽかぽかします。

春立つや 開館を待つ 自動ドア

更に,2月と言えば「梅」,「梅」は万木に先がけて開花するので「春告草」の別名があります。ちなみに「春告鳥」は鶯,「春告魚」は鰊です。
「梅」はまた「好文木」といわれ,学問を怠ると梅の花が咲かず,励むと花開くという中国の逸話から,学問の象徴とも言われています。
また,学問の神様と言われる菅原道真が梅の花を愛したことはあまりにも有名です。

東風吹かば 匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて春をわするな

梅一輪 一輪ほどの暖かさ   芭蕉の弟子で服部嵐雪の句です。

梅の花が一輪また一輪と咲くにつれて,気候も少しずつ暖かさを増すという意味で,見事に春の訪れを,梅の一輪に詠んだ名句です。

梅が香や おまへとあしの 子規真之   子規

「おまへとあし」は,「君と僕」を松山方言で親しみを込めて表現したものです。
「正岡子規」と「秋山真之」二人の友情に,梅の香りが漂います。

図書館にも梅の香りが似合いますね。

開館に 飛び込む梅の 香りかな

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