【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第69号
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○<不定期連載> 読書Fun!~司書Sが楽しく読んだ本をご紹介します(第7回)

どうして今までこの本を紹介するのを忘れていたんだろう。図書館の講習会では毎回紹介していたのですっかり紹介した気になっていました。
すごく面白くていい本があるんですよ。
タイトルは「論文の教室」。

学生のみなさん,論文書くのに苦労していませんか?
「だいたい,論文の書き方なんて習ってないし・・・」とお嘆きの方,ぜひこれを読んでください。

おすすめの理由はズバリ,「面白いから」。
論文を書けるようになりたいから難しい内容をしぶしぶ読む・・・のではなく,爆笑エッセイのように面白いのでぐいぐい読めてしまうんですよ。
実は私,自分でこの本を購入して持っているのですが,いっぱい付箋を貼ってあります。
その大部分は,役にたつところではなく,思わず笑ってしまったところに。
そのぐらいの面白さです。

なんたって,登場人物が「作文ヘタ夫」などというベタなネーミングですよ。
さらに,論文を書く上で大事なポイントを,文章で説明するのではなくキャッチーなキーワードにして頭に残りやすくする,といういかにも今様なテクニックが使われています。

こう書くと「軽いんじゃないの?」と思われそうですが,決して!そんなことはありません。
学問に対する真摯な態度がしっかり伝わってきます。

この本はいわゆるhow to本ではあるけれど,結局何かを会得するためには,そのやり方=How to を会得するだけではダメで,なぜそのようにするのか,という理念や思想が理解されなければ結局表面をなぞっただけで最終的に自分の血肉とはならない,ということをも感じさせてくれます。

「なんだ,学生向けの本か」「論文書かないから関係ないな」と思うなかれ。社会人にも役に立つこと請け合いです。
論文というのは,自分が主張したいことを論理的に,分かりやすく相手を納得させることができるように書くもの。
つまり,いかに相手に上手く伝えるか,ということです。これは,仕事の報告でも,日常のコミュニケーションでも同じことですよね。
この本を読めば,格段に上手く伝えられるようになります。

・・・最近,なかなか上手く文章が書けないので,そろそろ読み返してリハビリをしようかな。


「論文の教室 : レポートから卒論まで 」の情報
書名:論文の教室 : レポートから卒論まで (NHKブックス;954)
著者名:戸田山和久
出版社:日本放送出版協会 出版年:2002年11月

所蔵情報
所在:徳島大学附属図書館本館3階東閲覧室(人文系)
   請求記号:816.5||To 資料ID:206004989

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