【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第35号
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○連載:図書館のモノ・もの(No.23)

◎No.23 書架

大学では電子ジャーナルやデータベースの利用が普及し,一部では単行本の電子化といったことも話題に上り始めていますが,図書館といえば紙の本がずらりと並んだ風景というのはまだ当分続くことでしょう。その本を並べる棚のことは「本棚」とか「書棚」とか言うのが普通ですが,図書館では少々厳しく(?)「書架」という呼び方をしています。
図書館用書架といっても,頑丈に作られていること等を除けば,基本的な構造は家庭やオフィスの本棚とあまり違いはありません。しかし,材質や大きさ等を見ていくと意外にバリエーション豊かです。

(1)材質による種類

大きくは木製とスチール(鉄)製に分けられますがこの違いは一目瞭然でしょう。更にスチール製書架には棚板の取り付け方により,一本の柱で片持ち式に支える「単柱式」と前後を2本の柱で支える「複柱式」があります。

木製書架単柱式スチール製書架複柱式スチール製書架
木製書架単柱式スチール製書架複柱式スチール製書架
入手のしやすさやレイアウト(書架の高さや棚の段数・間隔等)の自由度等から,大抵の図書館では単柱式のスチール製書架が主流となってきています。徳島大学附属図書館でも大部分の書架が単柱式スチール製ですが,場所や用途等によっては複柱式や木製の書架も使用しています。また,スチール製書架でも側板や天板を取り付けて木製書架に近い外観を持たせる工夫をしたものもあります。

側板・天板付スチール製書架
側板・天板付スチール製書架

(2)高さによる種類

年々増えていく一方の本をどう収納していくかということは,どこの図書館でも大きな悩みの種です。そこで1冊でも多く収納できるよう書架の高さは天井ぎりぎりまで取るのが普通です。しかし,背の高い書架ばかりだと室内の見通しが悪かったり圧迫感で落ち着いて利用する雰囲気を欠くことにもなります。また,大型本など高い位置に置くと利用し難いものもあります。そこで,場所や用途により敢えて背の低い書架を使用する場合もあります。

徳島大学附属図書館本館新着図書コーナーの低書架(手前)
本館新着図書コーナーの低書架(手前)

(3)集密書架

並行に並べた書架の列同士の間は通路として一定以上の幅を確保する必要がありますから,一定面積内に設置できる書架の数には自ずと限度があります。しかし,もし本を載せたまま書架の列ごと動かせるとしたら,そのとき必要な場所の通路だけ開ければよいので,もっと多くの書架を詰め込むことができます。これを実現したのが「集密書架」です。書架の列と直角方向に敷設されたレールの上を書架が動く構造になっています。

徳島大学附属図書館本館書庫内の集密書架通路床の黒い筋がレール
本館書庫内の集密書架通路床の黒い筋がレール
収容力抜群の集密書架ですが,レールを含め面積あたりの重量が相当なものになりますのでそれなりに頑丈な床が必要です。また,通路が開いている場所の資料しか利用できませんから,多くの人が同時に利用する閲覧室等にはあまり向きません。そのようなことも考慮して,徳島大学附属図書館では本館・蔵本分館とも書庫の1階に設置されています。なお,徳島大学附属図書館本館の集密書架は人力でハンドルを回して動かす手動式,徳島大学附属図書館蔵本分館はモーターで動かす電動式となっています。

(4)積層書架

ある意味,最も図書館らしいと言えるのが「積層書架」です。簡単に言えば「薄い」(天井裏や床下の空洞がない)床板を挟んで縦に書架を積み重ねたようなものです。上の足音が直接下に響く等快適性には程遠いものですが,同じ高さでより多くの階層を作ることができます。例えば徳島大学附属図書館本館は3階建ですが,書庫の積層部分は5層となっています。

徳島大学附属図書館本館書庫内の
積層書架内(一見普通の書庫フロアだが…)
徳島大学附属図書館本館書庫内の
積層書架階段(…床兼天井の「薄さ」に注目)
本館書庫内の積層書架内(一見普通の書庫フロアだが…)本館書庫内の積層書架階段(…床兼天井の「薄さ」に注目)

その他,棚板の奥行きや角度等,もっと細かいバリエーションがありますので,時間のある時はその違いを観察して見るのも一興かも知れません。


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