【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第35号
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前々号の第33号(2007/10/19)から学術機関リポジトリを構築する意味とメリット及びわが国における動向や方向などを紹介してきました。
学術機関リポジトリのおおよそについてはお分かりいただけたかと思いますが,色々疑問が出てきたことと思います。学術機関リポジトリにはそれぞれの大学の特徴に応じた内容を持っています。連載の最後に共通的な疑問点とそれに対する回答を紹介します。
Q :登録の手間が大きく,研究の負担にならないか?
A : 多くの大学では,評価等他のシステムとのデータ共有(どれかひとつに登録すればよい)など,極力手間がかからないような工夫をしています。
Q :自分の研究成果は既に研究科(室)ホームページに掲載している。そのうえわざわざ学術機関リポジトリにも登録する必要があるのか?
Q : 電子ジャーナルに掲載されれば研究成果の公開として十分ではないか?
A :(第1回の記事でも少し触れましたが)学術機関リポジトリに登録することにより,
☆ 大学全体の研究成果が体系的・長期的に保存される
☆ 学外から大学の研究成果を利用する統一された窓口となる
☆ メタデータ(索引等)付与により,より適切に検索される
☆ 無料で利用できるため,研究成果がより多くの人から利用される
といったメリットが得られます。
なお勿論,リポジトリに登録したからといって,電子ジャーナルへの投稿やその他のホームページへの掲載が妨げられるものではありません。
Q :学術雑誌に投稿した論文を登録することに問題はないか?
A :雑誌掲載頁そのものを学術機関リポジトリに掲載することが認められることはまだ少ないですが,掲載前の著者原稿であれば掲載を認める出版社が増えてきています。
Q :その他の著作権処理の問題等はどうするのか?
A :上記出版社毎の掲載可否も含め,リポジトリ担当係等が著者と相談しながら確認・対応しているところが多いようです。
学術機関リポジトリのコンテンツが充実した大学では閲覧利用件数が増え,研究成果発信の重要な拠点になりつつあります。一方でコンテンツの収集に苦労しているところも多いのが現実です。コンテンツを充実させるためには,なにより教員・研究者各位のご協力が不可欠です。その意味でも,また上記の例からも分かるように,教員・研究者に極力負担や心配をかけないような工夫が不可欠と言えるでしょう。