【す だ ち】徳島大学附属図書館報 第33号
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○平成19年度徳島大学附属図書館読書週間「懸賞論文」の募集について
徳島大学附属図書館では毎年10月下旬から11月上旬を秋の読書週間と定め,さまざまな工夫を凝らして学生の読書習慣を推進してきましたが,本年度は下記の要領で懸賞論文を募集することになりました。
最優秀賞,優秀賞および佳作には賞状と記念品が贈られるほか,応募者全員にも記念品を用意しています。
この機会に文学作品を読み,読後感想文を書いてみませんか。読書の中から何かが始まり,何らかの感動を通して,新しい自分に出会うはずです。多数のご応募をお待ちしています。
記
平成19年度徳島大学附属図書館読書週間(10月27日〜11月9日)
読書週間「懸賞論文」の募集要領
1.応募者 徳島大学学生(学部生・大学院生、留学生等も含む)に限る。
2.課題 下記の推薦図書の中から1冊を選び,読後感想文あるいは小論文を書きなさい。
3.字数 1200字〜2000字以内(表題,所属学部・学科,学生番号,氏名を冒頭に記入のこと)
4.ワープロ作成,原稿用紙に手書き,いずれでも可。原稿は返却しませんので,必要の場合はコピーを取っておいてください。
5.懸賞論文応募期限 平成19年12月10日(月)午後5時30分
6.提出先 徳島大学附属図書館本館(常三島)2階サービスカウンター
(図書館職員に応募原稿をお渡しください)
7.入賞者発表 平成20年1月17日(木)徳島大学附属図書館本館2階掲示板に発表するとともに,1月のメールマガジンでも入賞者を発表します。
8.審査員 下記の図書推薦教員4名および常三島地区と蔵本地区の教員各1名
9.推薦図書は下記の12冊(定評のある文学作品のうち,比較的短い作品で,生協書籍部でも簡単に入手できるものに限定)
有馬卓也教授
1)宮城谷昌光『花の歳月』(講談社文庫)
中国の前漢時代,文帝の后であった女性。彼女は名家ではあったが,貧しい田舎の家の娘だった。漢王朝が全国から侍女を公募した際,都を見てみたいという思いで旅立った。
2)横山秀夫『出口のない海』(講談社文庫)
大学の野球部に身を置いていた主人公並木浩二。彼も学徒動員により海軍へ,そして流れるままに人間魚雷回天の搭乗員となり,死に場である戦場へと向かっていく。
3)司馬遼太郎『殉死』(文春文庫)
何故乃木希典は明治天皇の崩御の際に殉死しなければならなかったか。明治という薩長主流の時代に翻弄されつつ生きた長州藩出身者の後半生を描いたもの。
石川榮作教授
4)三島由紀夫『潮騒』(新潮文庫)
ギリシア文学を下敷きにした若い男女の恋愛物語だが,その背景には「人間と自然の調和」というテーマがあり,格調高い作品である。
5)ゲーテ『ヘルマンとドロテーア』(岩波文庫)
フランス革命の戦乱に追われた避難民の娘ドロテーアを裕福な一市民の息子ヘルマンが妻に迎え,人生の秩序を築くに至るまでを描いた恋愛叙事詩の傑作。
6)シェイクスピア『マクベス』(岩波文庫)
11世紀スコットランドの武将マクベスは,魔女の暗示にかかり,次から次へと悪事を働き,最後には自ら滅びていく。時代を超えた普遍的なテーマを持つ傑作。
宮崎隆義教授
7)トマス・ハーディ(上田和夫訳)『カスターブリッジの市長』(潮出版社)
映画『めぐり逢う大地』原案。酒癖が悪く,酔った勢いで妻子を競売に掛けて売り払ってしまった男の一代記。「過去」に怯えながら,人と人との繋がり,家族というものの繋がりを描いた大作。
8)小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫)
80分しか記憶が保てない数学者。記憶が消えたら,人と人の繋がりはどうなるのだろうか。家族はどうなるのだろうか。数学をモチーフにした秀作。
9)吉本ばなな『キッチン』(新潮文庫)
家族という,確かにあったものがいつの間にか消えてひとりになってしまう。優しい他人との同居に,主人公みかげは孤独な心を和ませていく。
依岡隆児教授
10)カフカ『変身』(新潮文庫)
ある朝,目が覚めると虫になっていた・・・もしそれが「夢」でなかったとすれば?!平凡なサラリーマンの男に何が起こったのか?めくるめくカフカ・ワールドへの入門編。
11)フィッツジェラルド『グレート・キャツビー』(新潮文庫または中央公論社)
昔の恋人を取り戻そうとニューヨークにやって来たキャツビーは,アメリカのフロンティアがすでに失われたことも知らず,悲劇を演じることになる。村上春樹に最も影響を与えた。
12)高群逸枝『娘巡礼記』(岩波文庫)
大正時代に若い女性が一人で四国にやって来て,過酷な歩き遍路に出た。傷心を抱えながら,ひたすら自分と向き合い,やがて人と自然に癒され,生きる力に目覚めていく。著名な女性史学者の原点ともいえる旅の記録。
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