さらに大きく開かれた図書館をめざして

附属図書館長 石川 榮作


 本年4月1日より附属図書館長を務めさせていただくことになりました。このメールマ ガジン「すだち」2周年を記念して3月に発行した冊子版総集編において,細井和雄前図 書館長が今後の課題をまとめておられますように,現在附属図書館では,電子ジャーナル とデータベースの整備,学生用図書と情報リテラシー教育の充実,本館改修・増築計画と アメニティ改善等といったさまざまな課題が山積しています。そこで私は,まずはこれま での基本路線を維持しつつ,本学附属図書館が掲げている中期目標・中期計画を推し進め ることによって,情報化時代に適した図書館を実現するため,それらの課題に取り組んで いきたいと考えています。
  私の専門分野はドイツ中世文学で,中世文学の写本や古い文献を求めて,私はこれまで 何度かドイツ語圏の大学図書館,国立図書館あるいは修道院図書館などを訪ねてきました が,そのたびに感じることは,ヨーロッパの図書館は古い歴史があるけれども,決して 「古い」というイメージはなく,それどころかIT設備や利用者へのサービスもたいへん 充実していて,「最新の」図書館としての機能を果たしているということです。本学附属 図書館はそれらの由緒あるヨーロッパの図書館に較べますと,比較にならないほど歴史も 浅くて,規模もごく小さなものに過ぎませんが,しかし,館内アメニティやサービスをよ りいっそう充実させることによって,「小さな」図書館だけれども,利用者にとっては「 大きな」図書館にすることは可能です。
 その「小さいけれども、大きな図書館」を実現させる一つの試みとして,私は特に学生 が授業の予習・復習のみならず,自主的に読書,映画・音楽鑑賞に耽ることのできる空間 と機会を提供したいと考えています。「知的感動ライブラリー」と名付けて,毎月第3あ るいは第4木曜日の午後2時30分から本館3階の大視聴覚室において,日本の名画のみ ならず、世界の名画・オペラの鑑賞会や,それらの原作(あるいは翻訳)の読書会を開く 予定にしています。それらの催し物については次号より毎月このメールマガジンでお知 らせします。まず第1回目は5月31日(木)に予定していますが,詳細は5月のメール マガジンをご覧ください。この「知的感動ライブラリー」は,ときどき土曜日午後にも行 うことにして,学生・教職員・事務職員はもちろんのこと,一般市民や高校生にも開放し たいと考えています。
 このように私は山積している課題に取り組むとともに,私の唯一の特徴としては新たに 「知的感動ライブラリー」を導入することによって,学生・教職員・事務職員あるいは一 般市民・高校生が一緒に芸術作品に接したり,読書したりする歓びを分かち合いながら, 読書習慣並びに情操教育を推進していたきいと張り切っています。どれだけのことができ るか,不安もありますが,文学研究を専門とする図書館長としての特徴を出しながら,大 学関係者のみならず地域の方々にもさらに大きく開かれた理想の図書館を実現すべく,努 力していく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。