第38代 附属図書館長の部屋


鶴尾館長

附属図書館長

鶴尾吉宏

館長プロフィール


 

徳島大学附属図書館長に4月1日付けで就任いたしました大学院医歯薬学研究部(顕微解剖学分野)の鶴尾吉宏です。就任に際しまして御挨拶を申し上げます。私は平成27年に徳島大学に着任後、副館長を2年間、蔵本分館長を2期4年間務めました。この経験を生かして、附属図書館長として図書館の運営を進めていきたいと考えています。大学図書館は、知識、情報、データに容易にアクセスでき、これらを活用して新たに知的生産を促進できる環境を提供することによって、大学における教育と研究を推進するとともに、社会において知の共有と創出を行い、社会に貢献できる新しい人材を輩出することが目標であります。この基本理念を踏まえて、① 蔵書を含んだデジタルなリソースによる知識や情報を共有すること:知の共有、② 新たに知を紡ぐ環境を提供すること:知の創出、③ 新しい人材を育成すること:人材育成 の3項目に分けて取り組んでまいります。

 

① 知の共有について  
 大学図書館は、大学での教育と研究に必要な知識、情報、データを円滑にしかも網羅的に提供する必要があります。このために、紙媒体の図書や雑誌などの蔵書を整備することに加えて、電子ブックや電子ジャーナルなどのデジタルなリソースの有効利用が望まれます。紙媒体の蔵書については、学生からの希望によるブックハンティングや各担当教室から推薦された図書を揃える授業サポートナビなどをさらに活用し、内容を充実させていきたいと思います。BYODによるノートパソコン必携化や学生の電子ブック等の利用増加などから、電子ブックの整備と活用の促進も必要です。電子ジャーナルについては、教育と研究の促進と活性化に必須のリソースであり、是非とも整備して円滑また有効に利用できる環境を提供することが求められますが、外国出版社との契約金額の高騰によって利用できるジャーナルの範囲もおのずと制限され、全学の各部局による合意の下に進めることが必要と考えます。現在は、大学本部の予算措置で必須となるジャーナルを利用できる状況にありますが、教育と研究の質を維持・向上して学術情報に格差の生じることがないように、今後契約の見直しを含めて充分に検討しながら進めていきたいと考えています。  
 さらに、機関リポジトリを充実させることによって、本学の教育と研究の成果のオープンサイエンス化を推進させ、学術情報の国際的な流通性を高めていきたいと思います。現在、機関リポジトリへの登録は20%に到達していますが、図書館からの広報の充実などによって登録件数を増やし、教育と研究の成果の学外への発信を更に高めていきたいと考えています。  
 また、徳島県の古文書や古地図などの貴重な資料を含めて、経年変化で劣化が進んでいる資料を電子化することで、学術情報の長期的な保存と活用さらに収納スペースの確保につなげていきたいと考えています。

 

② 知の創出について  
 大学図書館は、人が知識や情報と出会うだけでなく、人と人が相互にコミュニケーションを行い、さらに情報ネットワークの場も利用して、知を創出する場であります。知の創出は、学生同士でもよいし、学生と教員、職員あるいは学外者でもよく、さらには、図書館外の施設と連携してコミュニケーションしてもよいと考えます。共通の話題あるいは異なる関心領域についてさまざまな人たちが交流できるよう、時間的にも空間的にも制約されないコミュニケーションの場を提供できればと考えています。  
 図書館システムもキャンパス情報システムの更新に伴って、さらにアクセスが容易な新しいものを検討し、館内のゾーニングについても見直したいと思います。読書の振興や学習の促進を図るために、これまで行われてきた展示コーナーやおすすめ本の紹介、学習相談窓口であるStudy Support Spaceなどの学生協働による学習支援などをさらに充実させていきます。また、地域に開かれた大学図書館として、県内の公共図書館や大学図書館との連携を強化して、地域の人々の生涯学習や文化活動などを支援していきたいと思います。

 

③ 人材育成について  
 大学図書館は、社会に求められる能力やスキルを持った人材を大学から輩出できるようにサポートします。そのためには、対応できるだけの知識、情報、スキルを備えた専門性の高い職員が大学図書館に求められ、このような人材を確保することやこれらの資質の向上のための職員研修などが必要と思われます。

 

 また、古本募金などの献本による収益だけではなく、古文書や古地図のデジタル化保存のために募ったクラウドファンディングのような資金調達の方策を活用できればと考えています。  
 徳島大学附属図書館が、コミュニケーションと情報の交換の場となり、知の共有と創出を実現して、学生、職員、研究者の皆様の教育および研究が一層進展しますように、学内の皆様の御意見を伺い御協力をいただいて貢献できるように努力邁進していきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。