第37代 附属図書館長メッセージ


依岡館長

附属図書館長

依岡隆児

館長プロフィール


このたび附属図書館館長に就任いたしました依岡です。2年間の任期で、今までの副館長としての経験を活かしながら、精一杯職務を全うしていくつもりですので、どうぞよろしくお願いいたします。就任にあたりまして、「知の広場」という私のヴィジョンについて述べさせていただきます。以下、集いの場作り、研究交流学習支援読書振興地域貢献という点から説明します。

私は附属図書館について、人と人、知と知が出会い創発を生む「知の広場」というヴィジョンを掲げたいと考えています。IT技術の発展によって検索機能が普及・簡便化してきており、ただ一定の蔵書を有し情報検索サービスをするだけでは、これからの図書館は存在理由を問われかねません。図書館は、さまざまな知と知がつながり、学生と教員、職員、社会人がつながり、地域社会がつながる集いの場であるべきでしょう。そうした場は、単に情報が集積しているというのではなく、思いがけない発想や出会いがあり、異なる人々や異なる専門が対話できるリアルな場があって初めて、可能になると考えます。

図書館がこのような集いの場であるためには、図書館に関わる人たちには「つなげる」ために、現場へさらに半歩踏み込むことを求めたいと思います。アンケートを行うなどして利用者のニーズに耳傾け、図書館レファレンス機能を強化し、読書会やイベントの企画運営を行うファシリテーターを養成していきます。また教員・職員・学生も交えたミーティングを開催して、附属図書館のあり方を不断に検証し改善につなげていきたいと考えています。このような取り組みは「大学改革プラン」にある教職協働のモデルともなるでしょう。

研究交流に関しては、電子ジャーナル契約費の高騰の問題は深刻に受けとめています。たしかに、すでに一部の電子ジャーナルで契約の見直しをせざるをない状態になってはいますが、各部局の意向に配慮しながら今後も可能なかぎり存続できるよう、検討していくつもりです。情報公開や情報発信等の推進については、機関リポジトリの登録促進によりオープンアクセス化を図り、情報公開と研究教育環境の整備を一層推し進めてまいります。また学内にすでに蓄積されている研究情報データを集積し公開するよう努めます。こうした専門分野の枠を越えた情報探索を可能にする取り組みは、図書館だからできる研究交流の一つと考えています。

学生の学習支援については、SSS(Study Support Space)に積極的に院生を採用し、授業のレポート作成の指導を受講生に受けさせることで、これを学生同士の学び合いの場にしていきます。こうした活動は、アクティブ・ラーニングにもつながるばかりでなく、学生同士による汎用的技能習得の補助という点で、図書館にふさわしいものです。また出版社や書店の協力のもと電子書籍の本格導入も図り、それらを授業で活用できるようにしていきます。ラーニング・コモンズについては、現在の混在化した状況を是正し、交流スペース、読書スペース、グループ学習スペースにより明確に分けていくべきと考えます。交流の場としてのカフェスペースについても検討したいと思います。

読書振興に関しては、全国的に読書離れが進んでおり、大学生も二人に一人が本を読んでいないともいわれています。読書を取りまく状況には厳しいものがあります。図書館もこうした学生の読書離れに対して手をこまねいているわけにはいきません。テーマ本棚の設置、読書会やビブリオバトル、ブックトークの開催、学部の授業との連携によって読書啓発を推進していきます。具体的には総合科学部での「読書レポート」などにおける課題図書の調達と関連資料の検索指導や、図書館職員との協働による授業展開、専門の授業における授業サポートナビの活用の促進を考えています。

さらに地域貢献として、徳島県の「読書立県」の取り組みを支援し、県立・市立の図書館や他大学とも緊密に連携をとりながら、地域の読書啓発ひいては文化育成に寄与したいと思います。そのための一策として、学部の協力のもと図書館主催の連続講演会を開催し、研究交流と地域交流を展開するとともに、地域における図書館サポート組織を構築したいと考えております。寄附金の増加対策としての「古本募金」事業は引き続き継続していきますが、さらにこれを古本市(ブックバザール)などと連動させるなどして、地域交流に資するようにもしたいと考えています。

以上のような「知の広場」として、附属図書館が大学ならびに地域に根づくように、私は微力ながら努めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。