徳島大学附属図書館年次報告書「はじめに」


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附属図書館館長

吉本勝彦


徳島大学附属図書館は,昭和24年に学芸学部図書分館,医学部図書分館,工学部図書分館として発足して以来,68年目を迎えます。昭和27年には附属図書館本館を設置し,学芸学部図書分館,工学部図書分館を併せて常三島分館(昭和43年に本館に包括)に,医学部図書分館を蔵本分館と改称しました。昭和37年,38年には蔵本分館の書庫および事務室が,昭和46年には常三島地区に本館が新築されました。本館および蔵本分館においては,それぞれ3回の増築・改修を経て現在に至っています。

大学図書館の機能として教育・研究を支える情報システムが主であることは論をまちませんが,現在の大学を巡る大きな環境変化の中で徳島大学附属図書館は平成26年度から学修支援に重点を置くことを目標としました。さらに研究支援の一つとして平成28年に「徳島大学におけるオープンアクセスに関する方針」を裁定しました。平成28年度において,これらの課題に対処した活動を以下に紹介します。

1.学修支援

授業に必要な図書等をカリキュラムに即して配置し,担当教員が図書のコメントを加えた 「授業サポートナビ」の構築,教員の監修によるテーマ展示(図書とiPadアプリの展示)やMy Recommendations(教員などによるお勧め本)による読書推進,英語の多読ラリーなどについて取り組みました。学生サークルとともに,教員や学習支援アドバイザーによる学習相談の場である「Study Support Space」の運営,教員による「レポートの書き方講座」,「先生のコバナシ」など学生の主体的な学習を促進する活動を行いました。「エビデンスに基づく医療を実践するEBMワークショップ」,「診療ガイドライン利用者のためのGRADEワークショップ」などの専門人育成のための取り組みを図書館で実施することで,学部・大学院・病院の壁を超えた新しい教育・研究のコミュニティーの場となるよう努力しています。また,図書館職員が文献検索講習・データベース講習を含めた情報探索能力を向上させる授業支援を行いました。

2.研究支援

電子ジャーナルおよびデータベースの恒常的な値上げ,海外サーバから提供される製品への消費税課税の導入,さらには運営費交付金の削減などにより,電子リソースの財源確保は非常に厳しい状況にあり,平成29 年度からはWeb of Scienceを中止せざるを得ない状況になりました。今後,費用対効果を考慮したパッケージあるいは個別タイトルの選別が求められています。また,公的資金によって得られた研究成果を「徳島大学機関リポジトリ」において公開し,学術研究や社会技術の発展に貢献しようとする「徳島大学におけるオープンアクセスに関する方針」を推進するために,説明会の開催や「徳島大学におけるオープンアクセスに関するガイドライン」の作成を行いました。紀要論文・学位論文とともに著作権をクリアした学術出版社論文などの登録・公開促進のためには,個別論文に対して各教員への呼びかけが必須であるとともに学内の研究担当部門との連携を一層進める必要があります。


図書館職員は「学生・教職員などが来館し利用するよう工夫を重ねる」など,巻末に示した「徳島大学附属図書館の理念」に向かって使命を果たすべく努力を重ねています。

一方,学生・教職員に対して図書館活動状況の周知を進め行動を促すことも大切です。関係各位のご支援とご協力をお願いいたします。


※「徳島大学附属図書館年次報告書(平成28年度)」PDFはこちらをご覧ください。

徳島大学附属図書館年次報告書(平成28年度)