読書および新聞活用のすすめ(「新入生にすすめる私のこの一冊」) 2017.4.1


附属図書館長 吉 本 勝 彦

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。現在は大学生活への大きな期待と少しの不安が交錯している時期と思います。

大学生の文章を書く力が落ちてきているということが、かねてから指摘されています。論理的な文章を書くためには書籍や新聞によって知識・情報を仕入れ、語彙力を増やすことが重要です。この経験はレポート・論文作成時、就職活動のみならず卒業後の職業生活にも役立ちます。

皆さんには、物語を楽しむ読書だけでなく自分の専攻分野以外の論説を主とする本を読むことを勧めます。この専攻分野以外の読書が血となり肉となって自分の専門分野を極めることにつながります。時間がなければ、就寝前の30分を読書に充てて下さい。本を読みながら、いつのまにかウトウトと眠気に襲われ、本を持ったまま眠りにつくかもしれません。ちなみに、105歳になる現役医師・日野原重明先生は、医学生のためのベッドサイド・ライブラリーとして20冊の本を推薦しています(だから医学は面白い―幻を追い続けた私の軌跡、日本医事新報社、2014年9月)。

また、大学生の読解力の低下も指摘されています。ソーシャル・ネットワーキング・サービスの普及による短文のコミュニケーションの広がりにともない、一定量の論理的文章と接する機会が減少しているのが一因です。この読解力の向上には語彙力の強化や文章の構造と内容の把握が必要ですので、新聞を読むことを勧めます。新聞が取り上げている内容は多岐にわたっており、それまで関心のなかった分野についても「偶然の出会い」で情報を得ることができます。経済協力開発機構が2009年に15歳を対象とした国際学力調査では新聞を読む生徒ほど読解力の成績が良い傾向が見られています。図書館では全国紙および地方紙を備えていますので活用して下さい。

僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意(池上彰、佐藤優著、東洋経済新報社、2016年12月)は新聞、雑誌、メディアサイト、書籍からどのように情報を取り入れるべきかを示した本です。著者は『ネットにつながらない「不自由さ」が知的強化になる。まずは1日1時間のネット断ちから始める』、『読書時間は「心がけ」と「ネット断ち」で作り出す。「いつか時間ができたら本を読もう」では読めない。』と述べています。実践してみてはどうでしょうか。


※「新入生にすすめる私のこの一冊」」は,徳島大学の教職員が推薦する本を紹介した冊子です。PDFはこちらをご覧ください。

新入生にすすめる私のこの一冊(平成29年度)