第34代 附属図書館長メッセージ


大学附属図書館は、最新の学術情報を迅速に提供するとともに、膨大な量の図書情報を継続的に保存・管理する重要な役割を果たしております。しかしながら、近年のインターネットの普及と電子媒体の爆発的増加により、いかに情報を管理するかが社会的な問題となっております。私たちは有益で必要な情報を素早く利活用したいわけですが、余りに巨大な情報量により、この利活用が手に負えない状況になってきていると言えます。

特に、学術情報の電子化は急速に進んでおります。これに対して、本学付属図書館では、コアジャーナルおよび電子ジャーナルなどの整備・充実が推進され、教職員や学生が、教育・研究に必要な情報を迅速に取得できるようになりました。これらの仕組みが確立する前は、手元にない研究資料は、コピー依頼を図書館に申請し、他の研究機関からコピーを送付してもらっていましたので、今読みたいと思う研究資料は、直ちに読めない状況でした。従って、この研究環境の充実は、研究のスピードアップに大きく貢献し、他大学への文献依頼の経費を削減できる効果があります。

しかしながら、電子ジャーナルは海外出版社が市場を独占しているため、学内の共通経費負担は多くなってきています。今後、電子情報はますます増加することが予想されますので、本学附属図書館における種々のサービスの費用対効果を評価し、情報技術(IT)を活用することで改善していくことが重要と考えています。また、海外出版社の独占市場の対処として、オープンアクセスジャーナルも普及してきていますので、研究の成果をどのように発表するかということも、今後、研究評価も含めて変化していくものと考えます。この問題に対して、日本の大学図書館コンソーシアム連合 (JUSTICE)が発足し、活動を開始していますので、成果を期待したいと思います。

さて、上記は日本と海外出版社の国際的な市場競争のような状況ですが、もう少しローカルな点を見てみますと、教職員と学生のみならず地域住民も学習できるラーニング・コモンズの取り組みも推進していますので、ご利用いただければ幸いです。また、本学図書館には、江戸時代に阿波・淡路両国を支配していた徳島藩及び蜂須賀家関係の史料が収蔵されており、世古地図・絵図コレクションがあるとのことです。まだ見ておりませんので感想を書くことはできませんが、じっくり観察してから、次の機会に報告させていただきたいと思います。

それでは、新時代に適応できる図書館の実現をめざしてゆきたいと考えていますので、皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げます。


2012年4月吉日 青江 順一