第33代 附属図書館長メッセージ


図書館も時代の流れとともに、大きく変わってきている。その最たるものは、電子ジャーナル化の影響である。さらに、電子ブックも続いている。論文の投稿も電子投稿になり、印刷した論文を郵便局から出版社に送ることもなくなった。このように投稿した論文がアクセプトされ、出版社により出版されるが、出版された論文を読むためには、ほとんどの場合、購読料を支払わなければならない。電子ジャーナルになってから、大学図書館は大手の出版社であるElsevier社、Wiley-Blackwell社、Springer社などと契約し、大学のスタッフは個々の研究室から契約された電子ジャーナルにアクセスできるようになっている。そのため、わざわざ図書館に足を運ばなくても、かなりの雑誌の論文については、PDFファイルとしてダウンロードして読むことが可能になっている。このような時代の流れに対応して、一方でオープンアクセス雑誌が登場してきた。例えば、Public Library of Science (PLoS)は自然科学系の雑誌、例えばPLoS BiologyやPLoS ONEなど7誌を電子出版している。オープンアクセスであるから、誰でもどこでも、読者は無料で論文を読むことができる。一方、著者は論文出版加工費として、約10万から25万円を負担しなくてはならない。PLoS Biology誌はインパクトファクターが12を超えており、一流誌の仲間入りをしている。一方、PLoS ONE誌は実質的にはPLoS Biology誌などにリジェクトされた論文の受け皿として機能しているが、インパクトファクターは4.3程度である。もしインパクトファクターが36を超えるNature誌がオープンアクセス雑誌になると著者は300万円を負担することになる?との試算もある。研究者としては、どちらかで出版経費を負担することになるが、しばらくは共存していくことになるであろう。この様な時代の流れの中で、図書館がどのような役割を担い、またどのように変化してゆかなくてはならないのか、考えなければならない。大学図書館コンソーシアム連合 (JUSTICE)が発足し、大学図書館が抱える多くの問題の一部を解決するために活動している。今後の成果に期待したい。

徳島大学の図書館においても、様々な活動が行われているので、是非とも参加していただき、新しい大学図書館の構築にご協力していただきたい。


2011年8月吉日
野地澄晴