館長の部屋


鶴尾館長

附属図書館長

大髙 章

館長プロフィール


 

徳島大学附属図書館長に4月1日付で就任いたしました大学院医歯薬学研究部(機能分子合成薬学分野)の大髙 章です。就任に際しましてご挨拶を申し上げます。私は平成17年に徳島大学に着任後、図書館運営については副館長、蔵本分館長を、学部運営については薬学部長を務めて参りました。図書館業務そして管理運営に関するこれらの経験を生かして、附属図書館長として図書館の運営を進めていきたいと考えています。大学附属図書館は、「今日の社会における知識基盤として、記録媒体の如何を問わず、知識、情報、データへの障壁なきアクセスを可能にし、それらを活用し、新たな知識、情報、データの生産を促す環境を提供することによって、大学における教育研究の進展とともに社会における知の共有や創出の実現に貢献する」ことが、その目標とされています。そこで、3つの重点取組領域、すなわち、① 知の共有(蔵書を含んだデジタルなリソースによる知識や情報の共有)、② 知の創出(学内外に開かれた新たな知を紡ぐ場の提供)、③ 人材育成(知の共有・創出に向けた人材育成)に取り組んでまいります。

 

① 知の共有について  
 大学附属図書館は、大学での教育と研究に必要とされる知識、情報、データを網羅的かつ円滑に提供する責務があります。従来からの主流であった紙媒体の図書や雑誌などの蔵書整備に加え、昨今では、電子ブックや電子ジャーナルなどのデジタルリソースに網羅的にアクセスできる環境整備が喫緊の課題となっています。まず、紙媒体の蔵書については、学生からの希望によるブックハンティング、講義担当教官や各研究分野からの推薦に基づく、講義関連図書や一般教養図書の充実を図りたいと思います。また、学生のノートパソコン必携化や電子ノートの普及もあり、学生による電子ブックの利用も増加しています。電子ブックの整備と活用促進に向けた環境整備も必要です。電子ジャーナルは、大学における研究、そして研究を基盤とする教育活動全般にとって必須のリソースであり、研究大学としての徳島大学の地位をさらに向上させるためにも、円滑かつ網羅的、そして継続的な電子ジャーナル提供体制の構築が不可欠です。しかし、電子ジャーナル契約金額の高騰により、網羅的提供はもとより、継続的な提供も困難になりつつあるのが現状です。各種データに基づき、丁寧な議論を尽くし、選定を進めたいと考えています。研究成果のオープンサイエンス化も電子ジャーナル高騰化に立ち向かう有効な手段となります。機関リポジトリ登録率50%以上を目標に、さらなるオープンアクセス化を推進し、学外への研究成果発信力を高め、最終的にはこれを研究活動や外部資金導入活性化に寄与することも附属図書館の責務と思っています。コロナ禍により、在宅からの図書館情報へのアクセスが急増したのも最近の特徴です。この傾向は、今後も続くことが予想されるため、在宅からでも図書館情報にアクセスできる体制は引き続き拡充したいと考えています。

 

② 知の創出について  
 図書館は、人が知識・情報と出会うだけでなく、知識・情報を介してFace to Faceさらにはオンライン上で、人と人を結び付け、このめぐり逢いを通した知の創出の場を提供しなければなりません。ここに集う人たちは、昨今のオンライン環境の整備を考えれば、学生同士、教員同士のみならず学外者も含め、その範囲を大きく広げることが可能です。話題は共通であっても、あるいは学際的であっても構わず、新たな知を紡ぎだし得る場を提供できればと思います。また、機関リポジトリに収集した学術原著論文データが、学内研究の活性化を基盤とする知の創出に繋げるシステム構築も重要な課題です。研究成果に紐づけされた各種情報(教員の研究分野、研究業績など)から学内での研究交流の機会増大さらには研究の活性化に繋げることが可能と考えています。このような知の創出活動に、図書館として、積極的に関与いたします。また、学生の読書振興や学習促進への図書館の関与も引き続き進めます。学生が主役となった知の創出には、まず自らの「思考の言語化」が不可欠です。その手助けも、図書館の大きな役割の一つと考えています。

 

③ 人材育成について  
 上記に掲げた知の共有や知の創出を行う上で、図書館職員に加え、他の多くの人材の参画が不可欠となります。まず、図書館職員については、得意としてきた学術資料に関する専門的知識に加え、知の共有・創出のために必要とされる時代環境に適応した知識やスキルを習得できる機会を提供する必要があります。さらに、図書館職員が、教員・学生・一般人など様々な能力を有する人と一体となり、知の共有と創出に向けた活動の場を構築できる環境づくりに取り組みたいと思います。そのために、従来からの業務の改善、省力化についても取り組みたいと思います。

 

 最後に、財政基盤の補強に向け、献本による収益だけでなく、古文書や古地図のデジタル化に募ったようなクラウドファンディングの様な資金調達の方策の検討も必要となります。  
 
 徳島大学附属図書館が、大学内外にとらわれず、多くの人たちの情報とコミュニケーションの交換の場となり、知の共有と創出を実現し、学生、職員、研究者の皆様の教育、研究活動のみならず社会活動に大きく貢献できるように、学内外の皆様のご意見、ご協力をいただきながら、図書館運営を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。